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負担付遺贈

1.負担付遺贈とは

 

自分の財産を誰か特定の人に譲りたい場合には、遺言によって遺贈する方法が効果的ですが、単に遺贈をするだけではなく、受遺者に何らかの見返りを期待するケースがあります。

たとえば、遺言によって子どもに財産を譲るけれども、その代わり、妻が生きている限りは妻をその家に住まわせて、妻の面倒を見ることを条件とする場合などです。

このようなとき、「負担付遺贈」を利用します。負担付遺贈とは、受遺者に何らかの義務を課して、その義務が履行されることを条件として財産の遺贈を行うことです。

 

 

2.負担付遺贈の例

 

負担付遺贈を利用する例を、いくつかご紹介します。

「子どもに遺産を遺贈するが、その条件として子どもは遺言者の妻が亡くなるまで介護を続ける」

「子どもに不動産を遺贈するとき、その条件として、子どもは遺言者の妻に対し、毎月5万円を支払う」

「長男に自宅の不動産を遺贈するが、その条件として、長男は遺言者の死亡後、遺言者の愛犬の世話をする」

「子どもが住宅ローンを引き受けることを条件として家を遺贈する」

「障害を抱えた子どもの世話してくれることを条件に、財産を遺贈する」

このように、負担付遺贈は、いろいろな活用シーンが考えられます。

 

 

3.義務を履行しない場合、どうなるのか?

 

負担付き遺贈が行われたとき、遺贈を受けた受遺者が義務を履行しないと、遺贈の効果はどうなるのでしょうか?

この場合、遺言者の相続人や遺言執行者は、受遺者に対し、相当期間を定めて義務の履行を催告することができます。そして、相当期間内に履行されないとき、家庭裁判所に対して負担付遺贈の取消を請求することができます(民法1027条)。これにより、取消が認められたら負担付遺贈は効果を失い、受遺者は遺産をもらうことができなくなります。

 

 

4.受遺者の義務の範囲は?

 

負担付遺贈を行うとき、遺贈する財産と義務のバランスも問題となります。もらえる財産内容に対し、義務が大きい場合、受遺者にとっては過大な負担となってしまいますが、そのようなケースでも、受遺者はすべての義務を履行しないと遺産を受けとることができないのでしょうか?たとえば、10万円の預貯金をもらうために、遺言者の妻の面倒を死ぬまでみないといけないとか、遺言者の障害のある子どもの面倒を一生見るなどと書かれていたら、通常は義務と遺贈内容が不均衡だと感じるでしょう。

このようなケースでは、受遺者は、遺贈の目的となっている財産の価値を超えない範囲で義務を果たせば足りる、とされています。そこで、もらえる財産が非常に小さいのに、それを超えた過大な義務を履行する必要はありません。

 

 

5.負担付遺贈の放棄

 

遺贈は受遺者の意思にかかわらず一方的に行われるものですから、負担付遺贈が行われたとき、受遺者としては、そのような遺贈は受けたくないと考えることがあります。

この場合、受遺者が負担付遺贈を放棄することができます(民法986条)。

放棄をしたら、財産を受けとることはできませんが、義務を果たす必要はなくなり、負担の利益を受けるはずだった人が、代わりに遺贈を受けることができます。

たとえば、妻の面倒を見ることを条件に子どもに不動産を贈与したとき、子どもが負担付遺贈を放棄したら、妻が代わりに受遺者になることができる、ということです。

ただ、そうなると、負担付遺贈をすることで、自分の死後の妻などの生活が保障されることを期待していた遺言者の希望を実現することができません。

そこで、負担付遺贈をするときには、簡単に放棄されることのないように、事前に遺言者と受遺者がしっかり話し合いをしておくべきです。

 

 

6.遺言執行者を指定しておこう

 

負担付遺贈をすると、その後に受遺者が本当に義務を履行するかどうか、見守っていく必要があります。特に、年老いた親や妻の介護を依頼するときやペットの面倒を見てもらうときなど、義務が長期に及ぶ場合、本当に実行されるかどうか保証はありません。そこで、遺言執行者を指定することにより、きちんと義務が履行されるかどうか見守ってもらうことをおすすめします。遺言執行者は、遺言によって指定することができるので、負担付遺贈を定めた遺言書を作成するとき、弁護士などの信用できる人を定めておくと良いでしょう。

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