住宅購入における贈与と非課税枠についての解説と制度を利用する方法

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住宅購入における贈与と非課税枠についての解説と制度を利用する方法

2018.03.16

カテゴリ : 相続税 / 贈与税

住宅購入における贈与と非課税枠についての解説と制度を利用する方法

親族から生前に贈与を受けると、贈与税がかかります。

そのため、生前贈与をしたくてもできないとあきらめるケースも多くありました。

 

しかし、お金を回して経済の活発化を図るという観点から、国は生前贈与の経済効果に期待し、一定の条件のもとで住宅購入における贈与に非課税枠を設けています。

ここでは、住宅購入における贈与と非課税枠、非課税制度を利用する方法について解説します。

 

1.住宅取得等資金贈与の非課税制度とは

住宅購入のための資金を贈与された場合は、一定の要件のもと、その贈与に対して非課税枠があります。

これを「住宅取得等資金贈与の非課税制度」といいます。

 

とても有利な制度ですが誰もが使えるわけではなく、要件があります。

詳細は後述しますが、あくまで一定の非課税枠なので、住宅取得のためならすべての資金贈与が非課税になるわけではなく、非課税枠を超える部分については贈与税がかかります。

 

2.非課税制度を受けるための要件

では、住宅取得等資金贈与の非課税制度を受けるための主な要件を見ていきましょう。

 

(1)贈与者(贈与する人)

贈与を受ける人から見て、父母や祖父母などの直系尊属であること。

贈与者に年齢制限はありません。

 

(2)受贈者(贈与を受ける人)

  • 贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の子や孫
  • 贈与を受ける者のその年の所得が2,000万円以下であること
  • 前年までに、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の適用を受けたことがないこと

 

(3)居住要件

住宅を取得し、翌年3月15日までにその住宅の居住すること、または翌年12月31日までに確実に居住する見込みであること

 

(4)取得する家屋の条件

①取得要件

受贈者の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から、住宅用の家屋を取得したものではないこと

 

②面積要件

  • 日本国内にあり、登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であること
  • 家屋の床面積の2分の1以上を居住の用に供していること

 

③中古住宅の場合

  • 中古住宅の場合は、上記面積要件のほかに以下のいずれかのものに限定
  • マンションなどの耐火建築物は築後25年以内
  • 木造などは築後20年以内
  • 一定の耐震基準を満たすことが、一定の書類によって証明された住宅
  • 購入後に耐震改修工事を行い、翌年3月15日まで一定の耐震基準に適合すると一定の証明書等で証明された住宅

 

増改築等の場合は上記面積要件のほかに、次の2つの条件をどちらも満たす必要があります。

  • 一定の基準であることが、増改築等工事証明書などで証明されていること
  • 工事に要した費用が100万円以上であること

 

3.住宅取得等資金贈与の非課税限度額

上述した要件を満たす住宅を取得するための資金の贈与は、非課税制度を利用できます。

しかし、非課税制度には限度額があります。

非課税限度額は取得する住宅用の家屋の種類ごと、契約の締結日ごとに異なります。

 

住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%以外の場合

契約の締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

平成32年 3月31日まで

1,200万円

700万円

平成32年 4月 1日から

平成33年 3月31日まで

1,000万円

500万円

平成33年 4月 1日から

平成33年12月31日まで

800万円

300万円

 

住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%の場合

契約の締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

平成32年 3月31日まで

3,000万円

2,500万円

平成32年 4月 1日から

平成33年 3月31日まで

1,500万円

1,000万円

平成33年 4月 1日から

平成33年12月31日まで

1,200万円

700万円

 

省エネ等住宅とは、以下のいずれかの省エネ基準を一定の書類により証明されたものをいいます。

  1. 断熱等性能等級4、もしくは一次エネルギー消費量等級4以上であること
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、もしくは免震建築物であること
  3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上に適合する住宅用の家屋であること

 

4.住宅取得等資金贈与の非課税枠利用に必要な書類

 住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用するためには、書類を用意する必要があります。ここでは必要書類について見ていきましょう。

 

  1. 贈与税の確定申告書

第一表、第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)。

住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用するためには、贈与税の確定申告が必要です。

 

  1. 受贈者の戸籍謄本
  2. 住民票
  3. 取得・新築した家屋の契約書の写し
  4. 取得・新築した家屋の登記事項証明書

※その他、家屋の状況により耐震基準をみたすことの各種証明書や、省エネ等住宅であることを証明する各種証明書が必要です。

 

5.住宅取得等資金贈与の非課税制度と相続時精算課税制度

住宅を取得するための資金の贈与を受けた場合は、一定の非課税枠があることを述べました。

では、この非課税枠を超えた部分はどのように取り扱われるのでしょうか。実は、非課税枠を超えた部分は通常の贈与と同じと考えます。

 

そのため、非課税枠を超えた部分について、暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらかを選択適用することができます。

では、暦年課税制度と相続時精算課税制度とはどのような制度か見ていきましょう。

 

(1)暦年課税制度

暦年課税制度とは、原則的な贈与税の課税制度です。

贈与者・受贈者ともに制限はなく、親族だけでなく第三者からの贈与も対象となります。

 

暦年課税制度には、毎年110万円の基礎控除があります。

そのため、住宅取得等資金贈与の非課税枠を超えた金額が110万円までの間であれば、贈与税はかかりません。

 

住宅取得等資金贈与の非課税枠を超えた金額が110万円を超えた場合は、その金額に応じて、10%から55%までの税率により計算した贈与税がかかります。

 

(2)相続時精算課税制度

祖父母や父母などからの生前贈与には贈与税をかけず、その後の相続で、相続財産に生前贈与分を含めた財産に対して課税する制度を相続時精算課税制度といいます。

 

財産を贈与する人が複数いる場合は、財産を受け取った人が贈与する人ごとに暦年課税課税制度・相続時精算課税制度のいずれを適応するか選択できます。

 

相続時精算課税制度はあくまで特例的な制度のため、適用を受けるためには、贈与者と受贈者に次のような要件があります。

 

  • 贈与者
    贈与した年の1月1日で60歳以上の父母または祖父母
  • 受贈者
    贈与を受けた年の1月1日で20歳以上の子供または孫

 

ただし、子供の場合は、相続時に相続人と推定される人に限ります。孫の場合は、相続時に相続人と推定される人である必要はありませんが、子供に贈与する場合に比べ、相続時の相続税が高くなります。

 

相続時精算課税制度には、合計で2,500万円の特別控除があります。そのため、相続時精算課税制度を利用すれば、住宅取得等資金贈与の非課税枠を超えた金額が2,500万円までの間であれば、贈与税はかかりません。

 

住宅取得等資金贈与の非課税枠を超えた金額が2,500万円を超えた場合は、一律20%の税率により計算した贈与税がかかります。

 

相続時精算課税制度を利用するためには、贈与税の確定申告書のほかに以下の書類が必要です。

  1. 相続時精算課税選択届出書
  2. 受贈者の戸籍謄本及び附票
  3. 贈与者の住民票

 

住宅を取得するための資金の贈与を受けたときで、非課税枠を超えた場合はまず、暦年課税制度の適用を検討します。

非課税枠を超えた金額が110万円未満の場合は、贈与税が全くかからないので有利です。

 

次に、非課税枠を超えた金額が110万円を超えた場合であれば、相続時精算課税制度の利用を検討します。非課税枠を超えた金額が2,500万円までであれば、贈与税がかかりません。

 

ただし、相続時精算課税制度の場合は贈与者の相続時に加算されるため、相続税のことも考慮しましょう。

6.住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用するときの注意点

ここからは、住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用するときの注意点について説明します。

 

(1)申告が必要

住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用する場合は、贈与税の申告が必要です。

住宅取得等資金贈与の非課税制度は、贈与税の申告をすることがその要件となっているため、贈与税がたとえ0円でも申告をする必要があります。

 

申告には、必要書類をそろえたり、申告書を作成したりと多くの手間や時間がかかります。

贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日となっています。

遅れないように注意しましょう。

 

(2)非課税枠を超えた場合、相続時精算課税制度を選ぶと暦年課税に戻せない

非課税枠を超えた場合にいったん相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税に戻すことができません。

今後、住宅を取得するための資金以外に贈与を受けることがある場合は、暦年課税の方が有利になることもあるので、相続時精算課税制度を選択する場合は注意が必要です。

 

(3)住宅ローンがあるときに注意

住宅を購入する場合に、資金の一部に対しては父母や祖父母からの贈与を受け、そのほかを住宅ローンでまかなうことがあります。

住宅取得等資金の贈与額と住宅ローンの金額の合計が住宅の取得価額と同じ、もしくはそれより低い場合は問題ありませんが、住宅の取得価額を超える場合は注意が必要です。

 

例えば、住宅の取得価額が4,000万円、父母や祖父母からの贈与が1,000万円、住宅ローンが3,500万円の場合、住宅の取得価額4,000万円に対し、住宅取得等資金の贈与額と住宅ローンの金額の合計の方が4,500万円と多くなります。

この場合は、まず父母や祖父母からの贈与1,000万円を使い、足りない部分を住宅ローンで購入したと考えます。

 

住宅の取得価額4,000万円-住宅取得等資金の贈与額1,000万円=3,000万円 となり、住宅ローンとして3,500万円を借り入れたものの、実際に使われたのは3,000万円です。

差額500万円については住宅購入のために用いたと考えず、住宅ローン控除の対象から外れるため注意が必要です。

 

まとめ

住宅取得等資金贈与の非課税制度は、一定金額まで贈与税がかからない、とても有利な制度です。

しかし、贈与税の申告書を作成したり、必要書類を用意したりする必要があります。

また、非課税枠を超えて資金の贈与を受けた場合は、暦年課税制度や相続時精算課税制度のことを考える必要があるなど、さまざまな注意点があります。

 

住宅取得等資金贈与の非課税制度の利用を考えている場合は、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談しましょう。

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