負担付贈与とは?贈与税の計算方法とメリット・デメリットを解説

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負担付贈与とは?贈与税の計算方法とメリット・デメリットを解説

2017.12.1

カテゴリ : 相続税 / 贈与税

負担付贈与とは?贈与税の計算方法とメリット・デメリットを解説

贈与にはいろいろな形のものがあります。

通常の贈与は、贈与者が所有している財産を無料で受贈者にあげるというものです。

 

これとは別に、負担付贈与というものがあります。

この負担付贈与、うまく使えばメリットも大きいですが、注意しないとデメリットも大きくなるものです。

 

ここでは負担付贈与がどのようなものか、その内容と注意点を徹底解説します。

 

1.負担付贈与とは

まずは負担付贈与とはどのようなものかを見ていきましょう。

例えば、住宅ローンが残っている住宅の贈与を受けたと考えてください。

 

贈与者としてみれば、「住宅を贈与する代わりに残りの住宅ローンは返済して」ということになります。

 

結果、受贈者は住宅の所有権を持ちますが、住宅ローンの名義人にもなります。

このように、財産だけでなく負担も一緒に贈与するのが負担付贈与です。

 

負担付贈与は、受贈者に財産だけでなく、負担も引き継ぐことになります。

そのため、必ず受贈者側の承認が必要です。

 

お互いに納得した上でしか成立しません。

通常は負担付贈与契約書を作成して残しておきます。

 

では、お互いに納得して契約し、負担付贈与をおこなった後、受贈者が住宅ローンの返済をしないなど、その負担を一度も履行しない場合はどうなるのでしょうか。

 

この場合は契約を解除し、贈与者が負担の履行(住宅ローンの返済)を行う必要があります。

まとめると、負担付贈与は以下のようになります。

 

  1. 受贈者は財産と債務(負担)の両方を引き継ぐ
  2. 贈与者と受贈者の間で双務契約を締結する
  3. 贈与者は債務に対して担保責任を負う

 

2.贈与税の計算

ここでは、負担付贈与の場合の贈与税がどうなるかについて解説します。

 

通常の贈与の場合は、贈与の金額から110万円の基礎控除を引いた金額に贈与税がかかります。

例)評価額3,500万円のアパートの贈与を受けた

 

この場合の贈与税は以下のように計算します。※特例税率を使用して計算する

(評価額3,500万円-基礎控除110万円)×50%-415万円=1,280万円

 

次に、負担付贈与だった場合の贈与税の計算を見てみましょう。

負担付贈与の場合は、贈与を受けた財産の「財産評価額(時価)」から負担している「負債額」を差し引き、そこからさらに110万円の基礎控除を引いた額に贈与税がかかります。

 

例)時価6,000万円のアパートと、4,500万円の住宅ローンの負担付贈与を受けた

 

この場合の贈与税は以下のように計算します。※特例税率を使用して計算する

(時価6,000万円-住宅ローン4,500万円-基礎控除110万円)×40%-190万円=366万円

 

負担付贈与の場合は、負担を差し引いた正味の財産額に贈与税が課されるため、一般的に通常の贈与よりも金額が低くなります。

 

ただし、不動産の贈与の場合、通常の贈与での評価が路線価や固定資産税評価額などを使った評価になるのに対し、負担付贈与の場合は時価で評価されるため、場合によっては思っていたより多くの贈与税がかかる恐れがあるので注意が必要です。

 

また、詳細は後述しますが、負担付贈与の場合、贈与者にも税金がかかる場合もあるので注意が必要です。

 

3.負担付贈与のメリット

今までは、負担付贈与の内容について解説しました。

ここからは負担付贈与のメリットについて解説します。

 

(1)介護をしてくれる人の確実に財産を残すことができる。

負担付贈与の負担とは、何も借金などの負債だけではありません。

財産を贈与する代わりに、介護といった義務を負担してもらうことも可能です。

 

そこで介護をしてくれる人に財産を残したい場合に、この負担付贈与を使います。

介護の場合によく使われるのが、負担付贈与の中でも負担付死因贈与と呼ばれるものになります。

 

負担付死因贈与をすることで、生前に贈与者に良くしてくれた人に確実に、財産を贈与することができます。

 

①負担付死因贈与

負担付死因贈与とは、自分の死後に財産を贈与する代わりに何らかの義務を負担してもらう贈与のことです。

負担付贈与のため、双務契約は必須になります。

 

契約は口約束でも成立しますが、負担付死因贈与の場合、財産の贈与を受けるのは、贈与者の死亡後となるため、確実性を確保するためにも、負担付贈与契約書を作成して保存しておく方が良いでしょう。

 

②負担付死因贈与と遺言書の違い

負担付死因贈与と同じような効力を持つものに遺言書があります。

日本の相続では、被相続人の意思が尊重されます。

 

そのため遺言書が残っていれば、原則遺言書のとおり遺産を分割することになります。

この遺言書に、具体的に介護をするAさんにBという財産を渡すことを記載しておけば、負担付死因贈与と同じ効力を持ちます。

 

しかし、負担付死因贈与と遺言書の違いは双務契約かどうかです。

実は遺言書は何度も変更することが可能です。

 

そのため、受贈予定者の知らないところで遺言書が変更されていると、贈与者の死後に財産の贈与を受けられない可能性があります。

 

双務契約をして契約書も作成した負担付死因贈与では、このようなことはないため、確実に財産を受け取ることができます。

 

また、負担付死因贈与の契約があれば、介護する人もより親身に介護するというメリットもあります。

 

(2)事業継承

負担付贈与は事業承継に使うこともできます。

 

例えば、事業を継がせたい子供に、確実に事業で使っている財産を引き継ぎたい場合、その事業や財産にある負債も引き継ぎたい場合に有効です。

 

こちらも遺言書に記載することで同じ効果を得られますが、事業承継において、負担付贈与と遺言書で大きく違う点は、負担付贈与の場合は生前に事業承継できるという点です。

 

生前に事業承継することで後継者に事業に対するアドバイスができ、スムーズな事業継承が可能になります。

 

ただし、消費税の課税事業者の場合、負担付贈与では無償の贈与であっても消費税の対象になることもあるので注意が必要です。

 

(3)相続争いの防止

負担付贈与は、死亡後の遺産分割による相続争いを防止するメリットもあります。

 

自分の意志でどの人にどの財産を引き継ぐことができるかを決めることができ、しかも生前の贈与であるため、その財産を引き継いだ人が有効活用しているかどうか目を光らせることも可能です。

 

(4)節税効果

昔は、相続税の対策に負担付贈与を使うことが良くありました。

それは不動産の場合、贈与時に路線価等を使った評価額で贈与税を計算できたからです。

 

一般的に時価より路線価の方が低いので節税対策になりましたが、今は、時価で評価するために、その点での節税効果はなくなりました。

 

ただし、将来価値が極端に上がりそうな資産を生前に贈与する場合には、今の方が価値が低いため、節税効果はあるといえるでしょう。

 

4.負担付贈与のデメリット

ではここからは、負担付贈与を行った場合のデメリットについて解説します。

 

(1)贈与者側にも税金がかかる場合がある。

負担付贈与でデメリットとして一番大きなものが、贈与者側にも税金がかかるというものです。

贈与者側に税金がかかるのは、不動産や株式など譲渡所得の対象となる資産を負担付贈与した場合です。

 

受贈者側は、上述したとおり贈与税がかかります。

これは贈与という利益を被っているので当然です。

 

しかし、あげた側に税金がかかるということには納得できない人も多いでしょう。

例えば贈与した資産の購入金額より、負担してもらった負債の方が高い場合はどうでしょうか。

この場合、贈与者は得をしていることになります。

 

そのため、贈与した側では、贈与した資産を負担してもらう債務の金額で売却したと考え、譲渡所得に対する所得税や住民税がかかります。

では、具体例を見てみましょう。

 

※平成29年現在、譲渡所得の税率は、所得税・住民税合わせて以下のとおりです。

  • 譲渡した年の1月1日現在で5年超所有している場合 315%
  • 譲渡した年の1月1日現在で5年超以下している場合 63%

 

例)購入価額3,500万円の不動産、ローン残高4,500万円を負担付贈与した場合。5年超所有

(ローン残高4,500万円-購入価額3,500万円)×20.315%=2,031,500円

 

なんと200万円以上の税金がかかります。

贈与のため、お金を受け取っているわけではありません。

 

それでも、これだけの税金を支払う必要があります。

不動産等を負担付贈与する場合には、税金がいくらになるか、納税資金をどう用意するかを考慮する必要があります。

 

譲渡した年の翌2月16日から3月15日までに所得税の確定申告をすることになります。

 

また、所得税ではありませんが、事業を継承した場合は消費税の納付の可能性もあるので注意が必要です。

 

(2)不動産取得税がかかる

次は受贈者側の話です。

不動産を取得した場合には、不動産取得税がかかります。

 

税額は固定資産税評価額×4%(平成30年3月末まで土地や住宅の取得の場合は3%)です。

 

相続で不動産を引き継いだ場合は不動産取得税がかからないため、負担付贈与のデメリットといえるでしょう。

 

(3)登録免許税が高い

不動産を取得した場合は、法務局で所有権を自分に移転する登記を行う必要があります。その時に必要になるのが登録免許税です。

 

贈与の場合の登録免許税は、固定資産評価額(固定資産納税通知書や評価証明書に記載されている金額)の1,000分の20の金額です。

 

これに対し相続で不動産を取得したときに必要な登録免許税は、固定資産全評価額の1,000分の4の金額となります。

 

相続で不動産を取得した場合に比べて、贈与で取得した方が登録免許税は高いため、負担付贈与のデメリットといえるでしょう。

 

まとめ

負担付贈与は、受贈者に財産だけでなく、負担も引き継ぐ贈与のことです。

贈与者と受贈者の双務契約によって負担付贈与が成立するので、財産を引き継がせたい人に確実に財産を引き継ぐことができます。

 

負担付贈与をうまく使えば、自分の介護や事業継承、相続争いの防止などさまざまな効果をもたらしますが、熟慮せずに行使すると、思った以上の税金がかかるなどのデメリットもあります。

 

そのため、負担付贈与をしようと考えている方は、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談し、失敗のない負担付贈与を行うようにしましょう。

 

 

 

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