生前贈与の贈与税控除を利用して相続税を節税する方法

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生前贈与の贈与税控除を利用して相続税を節税する方法

2016.10.1

カテゴリ : 相続税 / 贈与税

生前贈与の贈与税控除を利用して相続税を節税する方法

相続が起こると、基本的に相続税が課税されます。

相続税には基礎控除がありますが、近年相続税の基礎控除が大きく削減されてしまいました。

 

基礎控除を超えると相続税の支払いの必要がありますので、現在の制度では、多くの家庭で相続税の支払いが発生します。

 

そこで、一般家庭でも相続税の節税の必要性が高まっていますが、相続税を節税するには、生前贈与の制度を賢く利用する方法が効果的です。

そこで今回は、相続税の節税に役立つ、生前贈与に認められる贈与税控除について解説します。

 

1. 相続税の基礎控除が減額された

相続が起こった場合、原則的に相続税が発生しますが、相続税には大きく基礎控除が認められます。

遺産の評価額が基礎控除以下である場合には、相続税の支払いの必要がありません。

相続税の基礎控除については、平成27年1月1日から大きく減らされています。

 

具体的には、

3000万円+法定相続人数×600万円

が基礎控除の金額となっています。

平成26年12月31日までの基礎控除は

5000万円+法定相続人数×1000万円

だったので、現在の制度とは大きな差が発生しています。

 

たとえば相続人として配偶者と子ども2人のケースでは、以前の制度では

5000万円+1000万円×3人=8000万円

まで相続税の支払いの必要がありませんでしたが、現在の制度では、

3000万円+600万円×3人=4800万円

を超える遺産があると、相続税が発生してしまうのです。

 

このように、基礎控除が大きく減額されたことから、現在では一般家庭でも相続税の節税対策をする必要性が高まっています。

 

2. 生前贈与とは

生前贈与を利用すると、上手に相続税を節税できることがあります。

生前贈与とは、贈与者が生きている間に、その財産を譲り渡す契約をすることです。

生前に贈与してしまったら、相続時にはその財産は遺産ではなくなるので、相続税が課税されず、相続税が節約できます。

 

ただし、贈与をすると贈与税が課税されますので、生前贈与をする場合には、贈与税がかからないように工夫する必要があります。

また、生前贈与は契約なので、贈与者と受贈者(贈与を受ける人)の両者の意思が一致する必要があります。

贈与者が一方的に財産を贈与しようとしても、それは有効な贈与とは認められません。

 

たとえば、父親が息子の名義で預金をしていたとしても、息子がその事実を知らなかった場合などには、それは有効な贈与だとは認められません。

単なる名義預金(他人名義で預金をしていること)とみなされて、相続税が課税されてしまいます。

 

生前贈与をする場合には、親族同士であっても必ず贈与契約書を作成して、贈与であることを明らかにしておくことが大切です。

 

3. 暦年贈与

生前贈与をする場合には、贈与税がかからないように工夫する必要がありますが、このとき、贈与税の基礎控除を利用して生前贈与する方法があります。

 

贈与をする場合、年間110万円までの贈与分には贈与税が課税されません。

よって、毎年110万円ずつ贈与を繰り返していけば、贈与税をかけずに生前贈与することができます。

この方法を暦年贈与と言います。

 

暦年贈与をすると、たとえば10年間継続したら1100万円分もの贈与をすることができます。

また、暦年贈与をする対象は、1人でなくてもかまいません。

 

たとえば3人の孫に年間110万円ずつ贈与をすれば、毎年330万円もの生前贈与を無税で行うことができます。

 

4. 暦年贈与のメリット

暦年贈与のメリットは、年間110万円までの贈与分が完全に無税になる事です。

対象になる財産の種類に制限はなく、預貯金や現金、不動産や株式など、どのような財産の贈与であっても贈与税控除の対象になります。

 

また、暦年贈与が認められるための期間なども特になく、何年でも何十年でも暦年贈与を続けることができます。

 

さらに、暦年贈与をする相手は1人には限られず、複数の人を相手に贈与をすることもできますので、1人1人について認められる控除分は少なくても、孫がたくさんいる場合などには多額の控除が認められるメリットもあります。

 

5. 暦年贈与のデメリット

暦年贈与のデメリットを見てみましょう。

暦年贈与をする場合、その金額は年間110万円までです。

よって、1度に多額の贈与をしたい場合には利用しにくいです。

 

たとえば、高額な不動産を贈与するような場合には、ほとんど意味が無いことが多いでしょう。

また、1年に110万円ずつしか贈与できないので、思ったより早く贈与者が亡くなってしまった場合には、あまり多くの財産を贈与出来ないままになってしまいます。

 

さらに、定期金に関する権利であると認定される可能性があることにも注意が必要です。

定期金に関する権利とは、定期的にお金を受け取る権利のことです。

 

たとえば、贈与者が受贈者に1000万円贈与することにして、毎年100万円ずつ支払っていったとします。

このとき、実際に受け取っているお金は毎年110万円以下ですが、贈与税の課税基準としては、当初の1000万円の贈与契約の際にまとめて1000万円を贈与しているとみなされるので、1000万円を基準に贈与税が課税されてしまうのです。

 

この場合、贈与税の基礎控除が認められるのは110万円までなので、890万円に対する贈与税が課税されます。

 

6. 相続時精算課税制度

生前贈与で贈与税をかけない方法としては、相続時精算課税制度もあります。

相続時精算課税制度とは、親や祖父母が子どもや孫に生前贈与をする場合、最大2500万円までの贈与分に対して贈与税がかからなくなる制度のことです。

 

2500万円を超えた贈与分については、一律で20%の贈与税が課税されます。

相続時精算課税制度を利用する場合も、対象の財産に制限はありません。

ただし、相続時には、贈与時の時価によって贈与財産が評価されて、それが相続財産に足されてまとめて相続税が課税されます。

 

相続時精算課税制度を利用する場合には、当初の贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までの間に、管轄の税務署に対して「相続時精算課税選択届出書」を添付して贈与税の深刻をする必要があります。

 

相続時精算課税制度を利用する場合には、暦年贈与は併用することはできません。

いったん相続時精算課税制度を選択したら、後日撤回して暦年贈与に変えることもできなくなるので、注意が必要です。

 

7. 相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度を利用すると、最大2500万円までの贈与分が完全に無税になる点が大きなメリットです。

贈与する財産にも制限がなく、現金でも預貯金でも不動産でも対象にできます。

 

また、2500万円の枠は、1年で使うこともできますし、複数年にわたってもかまいません。

暦年贈与と違って、一括で多額の贈与をする場合などにも利用しやすいです。

 

また、相続時に精算される場合には、贈与時の評価額が基準になるので、値上がりの期待できる不動産を贈与した場合などには税金節約の効果が高くなります。

 

8. 相続時精算課税制度のデメリット

相続時精算課税のデメリットは、完全に無税にはならず、相続税が課税されることです。多額の相続税が課税されるケースなどでは、利用しても余り節税にならないことがあります。

 

また、暦年贈与とは併用できませんし、贈与税申告の際の手間も増えます。

暦年贈与か相続時精算課税制度のどちらを利用すべきかについては、ケースに応じて賢く選択する必要があります。

 

今回の記事を参考にして、暦年贈与や相続税精算課税制度を利用して上手に相続税を節税しましょう。

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