相続財産に預金があった場合の手続き方法や注意点を解説

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相続財産に預金があった場合の手続き方法や注意点を解説

2018.01.5

カテゴリ : 相続人 / 相続財産

相続財産に預金があった場合の手続き方法や注意点を解説

相続が開始すると、まずは被相続人の持っていた財産を確定し、相続人の間で遺産をどう分割するかを協議します。

 

被相続人の財産には、ほとんどの場合、預金が存在しているので、手続きをどうすればいいのかなど不安になることも多いでしょう。

 

ここでは、相続財産に預金があった場合の手続き方法や注意点を解説します。

 

1.相続がある場合の預金はどうなる?

相続があった場合、預金はどうなるのでしょうか。

どのように遺産分割するのかが決定するまで、預金は凍結されます。

凍結されると、預金からお金の引き出しができなくなってしまいます。

 

では、いつ預金が凍結されるのでしょうか。

実は決まっていません。

自治体等に死亡届を出したからといって、被相続人が所有していた口座のある金融機関にその情報がまわるということはありません。

 

相続人からの申し出があったり、新聞の訃報欄や金融機関の他の取引先に教えてもらったりして、金融機関は被相続人が死亡した事実を知り、預金を凍結します。

 

金融機関が死亡の事実をつかまないと預金の凍結は行われないため、相続では預金が凍結される場合とされない場合の両方が出てきます。

 

ただし、金融機関が死亡の事実を知れば、すぐに凍結される可能性があるので、凍結されるものとして準備しておきましょう。

 

2.「遺言書がある場合」の預金凍結解除

預金が凍結されるとそれ以降、その預金を使うことができません。

そのため、預金の凍結を解除する手続きをとらなければなりません。

 

預金の凍結を解除する手続きは金融機関ごとで必要書類などが異なり、遺産の分割をどのように決めたかによっても変わってきます。

ここではまず、被相続人の遺言書が残されており、その遺言書通りに遺産を分割した場合を見ていきましょう。

 

預金の凍結を解除する手続きに必ずと言っていいほど必要な書類は、被相続人の出生から死亡までに作成された全ての戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本です。

 

金融機関としても、相続人全員が同意したことを確かめる必要があるため、提出を求めます。

被相続人の戸籍謄本は、出生まで遡っていく必要があるため、取得するまでに時間がかかることがあるので注意が必要です。

 

遺言書がある場合の預金の凍結は、比較的少ない書類の用意で手続きが完成する場合がほとんどです。

被相続人の戸籍謄本も出生まで遡る必要がないケースも多くあります。

どの書類が必要かをまずは、金融機関に確認しましょう。

 

遺言書自体で気を付けたいのが、被相続人が残した遺言書が、公正証書遺言以外の自筆証書遺言や秘密証書遺言などである場合です。

 

これらの遺言書は、開封の前に家庭裁判所の検認が必要です。

金融機関へ提示する遺言書は家庭裁判所の検認済のものでなければいけないので、注意が必要です。

 

3.「遺言がない場合」の預金凍結解除

次に、遺言書がない場合の預金の凍結解除について見ていきましょう。

遺言書がない場合は、遺産分割協議などで相続人全員の同意を得て、分割割合などを決めます。

 

その際、法定相続分の割合で分ける場合と、法定相続分以外の割合で分ける場合があります。

法定相続分の割合で分ける場合は、主に以下の書類が必要です。

 

  • 金融機関ごとの所定の「払戻依頼書」
  • 被相続人の出生から死亡までに作成された全ての戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の署名押印のある同意書、または遺産分割協議書
  • 凍結している口座の通帳やキャッシュカード、届け印など

 

また、金融機関で預金の凍結解除の手続きを行う相続人の本人確認書類(免許証など)や実印なども必要となります。

 

法定相続分の割合で分ける場合は、遺産分割協議書の作成は不要です。

しかし、金融機関は本当にその割合で相続人全員が納得しているのかを確認しようとするため、遺産分割協議書や、相続人全員の署名押印のある同意書などの提出を求める場合もあります。

 

法定相続分の割合で分ける場合の預金口座の凍結解除は、預金残高を法定相続分の割合で各相続人に引き渡すことになります。通常は、相続人全員に同時に引き渡します。

 

法定相続分以外の割合で分ける場合も、法定相続分の割合で分ける場合と必要書類は同じです。

ただし、必ず相続人全員の署名押印のある遺産分割協議書の提出が必要になります。

 

法定相続分以外の割合で分ける場合の預金口座の凍結解除は、預金残高を遺産分割協議書に記載された割合で各相続人に引き渡すことになります。

通常は、相続人全員に同時に引き渡します。

 

法定相続分の割合で分ける場合も、法定相続分以外の割合で分ける場合も、金融機関によって必要書類が異なります。

必ず事前に問い合わせをして確認しておきましょう。

 

4.預金の相続財産評価方法

今までは、相続財産に預金がある場合の口座凍結解除の手続きについて見てきました。

ここからは、預金の相続評価方法について確認していきましょう。

 

皆さんは、預金の価値を評価するということを考えたことがあるでしょうか。

預金には常に残高が記載されています。

 

では、相続税の財産評価もその数字を使えばよいのでしょうか。

預金の種類ごとに預金の相続財産評価方法を確認してみましょう。

 

(1)普通預金

普通預金の財産評価は、原則、相続開始日現在の預金残高です。預金残高はその口座の預金残高等で確認します。

後述する既経過利息については、その金額が大きくなければ評価額に加える必要がありません。

 

預金の相続で注意したいのが親族名義の口座です。

配偶者や子供など親族名義の口座であったとしても、実際は被相続人の口座と変わりがないものは、被相続人の口座として、相続財産に加える必要があります。

 

(2)定期預金

定期預金は長期間の預け入れを条件に、普通預金より利率を優遇している預金のことです。

定期預金の財産評価は、普通預金と異なり次の計算式で計算します。

 

定期預金の評価額 = 相続開始日現在の預金残高 + 既経過利息

 

既経過利息とは、仮に相続開始日現在でその口座を解約した場合に付される利息です。

普通預金で金額が大きくない場合は気にする必要はありませんでしたが、定期性のある預金については、既経過利息を計算して財産評価額にプラスしなければなりません。

 

普通預金であれ定期預金であれ、預金利息には所得税がかかります。

そのため、実際に財産評価額にプラスする既経過利息は、「既経過利息-所得税」となります。

 

既経過利息を自分で計算することは困難です。

金融機関に頼めば、既経過利息の金額が記載された「既経過利息計算書」を作成してくれるので、相続財産に定期預金がある場合は忘れずに依頼しましょう。

 

(3)外貨預金

外貨預金の評価額も、普通預金と同じように原則、相続開始日現在の預金残高です。

しかし、外貨預金の残高は外国通貨の単位で表示されています。

そのため、日本円に換算しなおして、評価額を求める必要があります。

 

通常、外貨を円換算する場合は為替相場を使って行います。

では、外貨預金の評価額の計算は、どの時点のどの為替相場を使わなければならないかを見ていきましょう。

 

①いつ時点で評価するか

これは、相続開始日現在の為替相場を使います。

ただし、例えばその日が日曜日などで相場がない場合は、最も相続開始日に近い、前日以前の相場を使います。

 

②どの為替相場を使って評価するか

為替相場の数値は、金融機関ごとで公表しており、金融機関ごとに微妙に違う場合もあります。

相続税の財産評価で使う相場は、納税者がいつも使っている金融機関の為替相場を使って評価します。

 

また為替相場には、電信買相場(T.T.B)と電信売相場(T.T.S)、電信売買相場の仲値(T.T.M)の3つの相場がありますが、相続評価で使うのは、金融機関等が外貨を購入する場合の相場である電信買相場(T.T.B)なので、注意しましょう。

 

5.相続財産に預金がある場合の注意点

ここからは、相続財産に預金がある場合の注意点を見ていきましょう。

 

(1)財産評価のために、残高をきちんと把握する

財産評価のところでも確認しましたが、口座の残高はきちんと把握する必要があります。

そのためには、金融機関に残高証明書の発行をしてもらう必要があります。

 

ただし、金融機関に残高証明書の発行を依頼すれば、被相続人の死亡の事実を金融機関が把握するので、口座が凍結されるということに注意しましょう。

 

(2)凍結解除の手続きに必要な書類を早いうちから揃えておく

凍結解除の手続きに必要な書類の中には、取得するまでに時間のかかるものもあります。

凍結解除の手続き時になって必要書類が足りなくならないように、あらかじめ金融機関に必要書類を確認しておきましょう。

 

(3)口座から引き落としがあるものを把握しておく

口座が凍結されると、現金の引き出しができないだけでなく、口座引き落としもできなくなります。公共料金などの支払いもストップしてしまうため、あらかじめ口座から引き落としがあるものを把握しておき、支払い方法の変更などをする必要があります。

 

(4)口座が凍結される前の引き出しはトラブルのもとに

口座が凍結されることがわかっていると、凍結前に必要な現金を引きだそうと考えることもあるでしょう。

 

しかし、それをすると、他の相続人から使い込みなどの疑いをかけられトラブルになるケースもあります。

どうしても引き出しが必要の場合は、他の相続人の了解を得てからにしましょう。

 

(5)遺産分割協議の長期化に注意

遺産分割協議の決着がつかず長期化すれば、それだけ口座の凍結解除も遅れます。

遺産分割協議の決着がつかなくても、仮で相続税の申告と納付を行う必要があるため、場合によっては納税資金を集めるのに苦労する可能性もあります。

できるだけ遺産分割協議の決着は早くしましょう。

 

まとめ

相続財産の中に預金がある場合は、口座凍結に対する手続きや備えと、預金の財産評価方法の2つに注意して、相続の手続きを進める必要があります。

他の相続財産に比べ、預金は身近なものですが、口座の凍結解除が遅れると思わぬ影響をうけることもあります。

 

そうならないためにも、手続きなどで不明点がある場合は、できるだけ早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。

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