著作権は相続財産になる?手続きと評価方法を詳しく解説

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著作権は相続財産になる?手続きと評価方法を詳しく解説

2018.03.16

カテゴリ : 相続人 / 相続財産

著作権は相続財産になる?手続きと評価方法を詳しく解説

財産を所有している人が死亡すると、相続が開始します。ひとくちに財産といっても、現金や預金、土地や建物、有価証券などさまざまなものがあります。

 

では、音楽などの著作物に与えられる著作権を、亡くなった人が持っている場合はどうなるのでしょうか。相続財産になるのでしょうか。

ここでは、亡くなった人が著作権を持っていた場合の手続きや評価方法を詳しく解説します。

 

1.著作権とは

著作権の相続手続きや評価方法を確認する前に、そもそも著作権とは何かを見ていきましょう。著作権とは、小説や音楽、絵画などの著作物を創作した著作者に与えられる権利です。

 

著作権の内容は「著作人格権」と「著作権」に大別されます。

著作権の相続について考えるときは、この2つをしっかり分ける必要があります。

では、それぞれの内容を確認しましょう。

 

(1)著作人格権

著作物は、著作者の考えや気持ち、思想などを表現したものです。そのため、著作物だけでなく、著作物を通して作品を作った人自身の人格も保護する必要があります。

 

この著作者の人格等を保護するための権利が、著作人格権です。著作人格権の主なものは次のとおりです。

氏名表示権

作者が自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するか、

表示する場合は実名かペンネームかを選択できる権利

公表権

作者が、自分の著作権の中で、まだ公表していないものを公表するかどうか、公表する場合はどのような方法で公表するかを決められる権利

同一性保持権

作者が、自分の著作物の内容やタイトルを、自分の意志に反して、他の誰かに勝手に変更されない権利

 

著作人格権は、著作者の人格等を保護するための権利であるため、たとえ著作権が他人に移っても、譲渡されずに著作者が持ち続けます。

 

著作人格権は、著作者の生存中を保護期間としているため、著作者が亡くなると、一定のものを除いて消滅します。そのため相続することはできません。

 

(2)著作権

著作権は、著作権者が著作物の利用を許可して、その使用料を受け取ることができる権利で、財産権の1つです。

著作物を利用するには、利用前に著作者の許可が必要です。著作権の主なものは次のとおりです。

複製権

著作物を印刷、写真、コピー機などにより複写・録音・録画などの方法で別の形に複製する権利。著作権の基本の権利でCopyRightとも言われます。

上演権・演奏権

音楽や演劇など、著作物を公に上演や演奏する権利

上映権

映画や写真などの著作物をスクリーンやディスプレイ画面などに公に上映する権利

公衆送信権・公の伝達権

著作物をテレビやインターネットなど、公衆からアクセスできるようにすることや、放送・有線放送などにより見せたり聞かせたりする権利

口述権

小説や詩などの著作物を、言語による朗読などによって口頭で公に伝える権利

展示権

美術の著作物や未発表の写真などの著作物を公に展示する権利

頒布(はんぷ)権

上映することを目的とした映画の著作物の複製品を販売・貸し出す権利

譲渡権

映画以外の著作物の原作または複製物を、多くの人に販売等する権利

貸与権

CDやDVDなどの映画以外の著作物の複製物を、多くの人へ貸し出す権利

翻訳権・翻案権

著作物を翻訳や変形、映画化、編曲や編集などをすることにより、二次的著作物を制作する権利

二次的著作物の利用権

自分の著作物を基に作られた二次的著作物を利用することに対し、原作者が持つ二次的著作物の著作権者と同様の権利

 

著作権は財産としての意味合いを持つため、権利の一部、または全部を譲渡することができます。また、亡くなった人が著作権を所有していた場合は、相続の対象にもなります。

 

著作人格権は相続できませんが、著作権は相続できるので注意が必要です。

また、著作権には存続期間(保護期間)が設けられており、存続期間を過ぎると著作権は消滅します。

著作権の存続期限は以下のとおりです。

実名(周知の変名を含む)の著作物

著作者が著作物を創作してから、著作者の死後50年まで

無名・変名の著作物 

公表後50年(創作後50年以内に公表されなければ創作後50年)

映画の著作物

公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ創作後70年)

 

存続期限中であっても、死後、その著作権者の相続人がいない場合、著作権は消滅します。

 

2.著作権の相続手続き

著作権は相続することができます。では、相続財産に著作権があった場合はどのような手続きをすればよいのでしょうか。

 

(1)相続人の決定

相続が始まれば、被相続人がどういった財産を持っていたかを確認するとともに、相続人を確定する必要があります。

相続人は、被相続人の戸籍を遡って調査することで確定します。

 

(2)遺産分割協議書の作成

相続人が決定したら、次は相続人で遺産をどういった割合で分割するのかを決めます。

遺言書がない限り、相続人全員の承認がなければ遺産を分割することができません。

 

そこで、通常、遺産分割協議を行い、遺産をどういった割合で分割するのかが決まったら、相続人全員の署名・押印がされた遺産分割協議書を作成します。

 

(3)文化庁への登録

著作権は、著作物を創作した時点で自動的に発生するものです。よく「著作権の登録」という言葉を耳にしますが、文化庁に著作物を登録するのは法律事実を公示したり、取引の安全を確保したりすることを目的にしているため、登録したから著作権が発生するというものではありません。

そのため、相続人が著作権を相続しても、文化庁に対して手続きをする必要はありません。

 

ただ、遺産分割協議の結果、複数の相続人が著作権を分割して相続するとなった場合は、取引の安全の確保等の理由から、文化庁に「著作権・著作隣接権の移転等の登録手続き」を申請する必要があります。

 

(4)財産評価

被相続人の財産を相続したら、相続税の申告や納税をする必要があります。そのためには、被相続人が持っている財産の時価(相続税評価額)を評価する必要があります。

もちろん、著作権も財産としての意味合いを持つので、財産評価の対象です。

 

(5)相続税の申告・納税

相続人が確定し、遺産をどういった割合で分割するのか、財産の相続税評価額がいくらかが分かれば、納付する相続税の計算をし、相続税の申告・納税を行います。

 

相続税の申告・納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内が期限となっています。その間に相続人の決定から、相続税の申告・納税を行う必要があるので注意が必要です。

 

3.著作権の評価方法

相続税の納付額を計算するためには、著作権の財産評価をする必要があります。ここでは、その評価方法を見ていきましょう。

著作権の財産評価は、次の算式を用いて計算します。

 

著作権の評価額=年平均印税収入の額×0.5×評価倍率

 

著作権は、その著作者が持っている著作権を一括して評価します。ただし、財産の分割を考えるときなどには、個々の著作権ごとに評価することもできます。

 

どちらの場合も計算式は同じです。著作権の財産評価をするためには、「年平均印税収入の額」と「評価倍率」を知る必要があります。

 

(1)年平均印税収入の額

年平均印税収入の額とは、課税時期の属する年(死亡した年)の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額を指します。

 

例えば、死亡前3年間の印税収入が合計300万円なら、平均値の100万円が年平均印税収入の額となります。個々の著作権ごとに評価する場合は、著作物ごとに年平均額を求めることになります。

 

(2)評価倍率

評価倍率の求め方は少し複雑です。法律では、次のように定められています。

 

『課税時期後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。』(引用元:法令解釈通達 財産評価

 

基準年利率の表や複利表を使って評価倍率を求めますが、「著作物に関し精通している者」とは誰なのか、算出した評価倍率が適正かどうかなどをどのように判断するのかなど、具体的なことは記載されていません。

そのため、著作権の評価は、相続の専門家等と相談しながら行うことになるでしょう。

参考:基準年利率

参考:複利表

 

4.その他の知的所有権

ここまでは、著作権について確認してきました。

実は、そのほかにも相続をすることができる知的所有権があるので、注意が必要です。相続できる主な知的所有権は以下のとおりです。

特許権

新たな発明を創作した者に与えられる独占権のこと。

登録により発生し、存続期間は原則、特許出願の日から20年。

実用新案権

物品や製品の形状、構造または組合せに係る考案をした者に与えられる独占権のこと。

存続期間は、出願した年で異なるが、平成17年4月1日以降は、出願の日から10年。

意匠権

物品の特徴的なデザインを創作した者に与えられる独占権のこと。

存続期間は、出願した年で異なるが、平成19年4月1日以降は、設定登録の日から20年。

商標権

商標を使用する者に与えられる独占権のこと。

存続期限は原則10年だが10年ごとに更新でき、半永久的に所有できる。

 

特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つを合わせて工業所有権といいます。著作権と異なり、これら工業所有権を相続した場合は特許庁長官に届け出る必要があります。

 

また、著作権とは財産評価の方法も異なり、特許を他人に実施させている場合は、特許の実施によって将来受ける補償金の額を、基準年利率による複利現価の額の合計額(現在価値に割り引いた価額)で評価するため、注意が必要です。

まとめ

著作権の内容は、大きく分けて著作人格権と著作権の2つに分かれます。著作人格権は相続財産になりませんが、著作権は相続財産になります。

 

まずは、著作権にはどのような内容のものが含まれるかを理解する必要があります。また、相続の手続きや、財産評価額の計算方法なども複雑なので、1人で著作権の財産評価をすることは難しいでしょう。

 

もしも相続財産の中に著作権がある場合は、できるだけ早く弁護士などの相続の専門家に相談するようにしましょう。

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