相続の対象となる負債の種類と借金を相続しない為の相続放棄の方法

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相続の対象となる負債の種類と借金を相続しない為の相続放棄の方法

2016.12.1

カテゴリ : 相続放棄 / 限定承認

相続の対象となる負債の種類と借金を相続しない為の相続放棄の方法

遺産相続が起こったとき、一般的には現金や預貯金、不動産などの資産を相続するイメージがありますが、実際には被相続人が借金などの負債を残して亡くなることもあります。

こうした場合、どのような負債が相続の対象になってしまうのでしょうか?

 

また、借金を相続するのを避けるためにはどのような方法をとることができるのかも問題です。

そこで今回は、相続される負債の種類や負債の相続を避けるための相続放棄の手続きについて解説します。

 

1. どんな負債が相続の対象になるのか?

親が亡くなったときなど、借金などの負債が残されていることがありますが、借金は、相続の対象になるのでしょうか?

 

一般的には、遺産相続と聞くと預貯金や不動産などのプラスの財産をイメージすることが多いですが、実は、借金も相続の対象になります。

そこで、被相続人が消費者金融やクレジットカードなどで借金をしていたら、相続人がその借金を相続して引き継ぐことになってしまいます。

 

被相続人が個人事業者などで事業資金の借入をしていたら、相続人に莫大な借金が引き継がれてしまうこともあります。

また、借金だけではなく、被相続人名義の負債はそのほとんどが相続の対象になります。

 

たとえば、被相続人が借家に住んでいて、家賃を支払っていなかった場合には、その未払家賃も相続されてしまいますし、買掛金があったらそれも相続人に引き継がれます。

ただ、被相続人が身元保証人になっていた場合の債務や養育費支払債務などは、被相続人に一身専属的なものなので、相続の対象になりません。

 

以上のように、相続が起こると、借金だけではなく被相続人が負っていた多くの負債が相続されてしまうことを、まずは押さえておきましょう。

 

2. 負債を相続するとどうなるのか?

借金などの負債を相続してしまったら、相続人はどのようになってしまうのでしょうか?

この場合、借金の支払義務は相続人自身のものとなります。

そこで、相続人が借金を支払わなければなりません。

 

他の遺産に預貯金などがあったらそこから支払ってもかまいませんが、それで足りない場合には、相続人が自分自身の財産から支払をしないといけなくなります。

 

相続人が支払をしないでいると、債権者は相続人に支払い請求をしてきますし、裁判を起こして相続人の個人財産を差し押さえてしまうこともあります。

すると、相続人の生活が危うくなるので、そのようなことにならないように対処をする必要性が高いです。

 

3. 借金を相続しないための方法は相続放棄!

被相続人が借金を残して死亡したので、それを相続したくない場合、どのような対処方法をとれば良いのかが問題です。

この場合には、相続放棄という手続きを利用することが多いです。

 

相続放棄とは、遺産相続について、資産も負債も含めて一切の相続をしないことです。

相続放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことになるので、借金を相続することはありません。

 

そこで、被相続人が多額の借金を残して亡くなった場合でも、相続放棄した人は借金を相続せずに済みます。

この場合、他に相続人がいたらその相続人が借金を引き継ぐことになりますし、誰も相続しない場合には、相続財産管理人が選任されて、プラスの遺産から借金返済が行われることになります。

 

借金を相続したくない場合には大変有効な手段なので、親が借金を残して死亡した場合などには是非とも相続放棄を利用しましょう。

 

4. 相続放棄する際の注意点

相続放棄する場合、注意しなければならないことがあります。

それは、相続放棄をすると借金だけではなく、プラスの遺産も相続出来なくなってしまうと言うことです。

 

被相続人が借金を残して亡くなった場合であっても、他にプラスの預貯金や不動産などがある場合もありますし、資産と負債を差引計算してみたら、プラスの資産の方が多いケースもあります。

 

実際にはプラス分が多いケースであっても、相続放棄をすると、マイナスの借金だけではなくプラスの資産も受け取れなくなって自分の取り分は0になります。

 

これに対し、もし相続放棄をせずに単純に相続をすれば、相続した遺産から自分で借金を支払い、残りの資産をもらうことができるので、その方が得だったということになります。

 

そこで、遺産相続が起こった場合には、単純に借金があるかどうかだけではなく、遺産全体を見渡して、全体としてプラスになるかマイナスになるかという視点から判断することが重要です。

 

また、全体としてプラスにならない場合にも、相続放棄によって問題が起こることがあります。

それは、遺産の中に、どうしても守りたい財産があるケースです。

 

たとえば先祖代々伝わる骨董品などの家宝があったり、思い入れのある実家があったりする場合などに相続放棄をすると、これらの大切な資産も相続することができません。

 

この場合、兄弟などの他の相続人がいて、大切な資産を相続してくれる場合には資産を守ることができますが、誰も相続しない場合には、それらの資産は売却されて債権者に配当されてしまいます。

 

相続放棄する際には、本当にすべて放棄してしまって問題がないか、しっかり検討することが必要です。

 

5. 相続放棄の期限

相続放棄をするときには、期限があることにも注意が必要です。

具体的には、「自分のために相続があったことを知ってから」3ヶ月以内に相続放棄の手続きをしなければなりません(民法915条1項)。

 

この期間の解釈については「相続が開始したこと」を知ってからと言うことになりますが、「遺産の中に借金などの借財があったこと」を知らなければ相続放棄する動機がないので、実際には借金があったことを知ってから3ヶ月以内であれば手続きができると考えられています。

 

ただ、この3ヶ月の期間を過ぎてしまうと、遺産の中に多額の借金あっても相続放棄ができなくなってしまうので、相続放棄をするなら早めに手続きすることが大切です。

 

6. 相続放棄の申述をする方法

最後に、相続放棄の方法をご紹介します。

相続放棄をするためには、家庭裁判所で「相続放棄の申述」という手続きをしなければなりません。

これが家庭裁判所で受理されたら、相続放棄ができたことになります。

 

相続放棄の申述をする家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

そして、相続放棄の申述書という書類を作成して、家庭裁判所に提出すると、申述の手続きができます。

相続放棄の申述書については、家庭裁判所のホームページにひな形があるので利用すると良いでしょう。

 

また、このとき被相続人の除籍謄本や住民票除票、相続放棄申述者の戸籍謄本などの添付書類が必要で、手数料として800円の収入印紙も必要です。

相続放棄の申述をすると、しばらくして家庭裁判所から「照会書及び回答書」という書類が送られてきます。

 

回答書の必要事項を記入して、家庭裁判所に返送をしたら、家庭裁判所でその相続放棄の申述を受理して良いかどうかの審理が行われます。

特に問題がなければ相続放棄が受理されて、申述人のもとに相続放棄の受理書が送られてきます。

これによって、無事に相続放棄ができたことになります。

 

相続放棄が受理されたら、家庭裁判所に申請をして受理証明書を発行してもらうことも可能です。

被相続人の死亡後、債権者が支払い請求をしてきたら、受理書や受理証明書を提示して、「有効に相続放棄しているから借金は支払わない」と言えば、債権者はそれ以上請求をしてきませんし、借金の支払いをせずに済みます。

 

以上のように、借金などの負債を相続したくない場合には、相続放棄が非常に有効な対処方法となります。

相続放棄をするためには期限内に行う必要があるので、遺産の中に借金やその他の借財が含まれている場合には、早めに相続放棄の申述を行いましょう。

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