亡くなった人の確定申告はどうする?準確定申告のやり方と注意点

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亡くなった人の確定申告はどうする?準確定申告のやり方と注意点

2017.10.21

カテゴリ : その他

亡くなった人の確定申告はどうする?準確定申告のやり方と注意点

年度末になると、確定申告に頭を悩ませる方も多いでしょう。

会社員(給与所得者)であれば経理が年末調整を済ませてくれるので、原則として確定申告は不要となります。

 

しかし、自分自身の収入とは別に、確定申告をしなければならないときがあります。その一つが、確定申告の対象者が亡くなり相続した場合です。

 

今回は、年の中途で亡くなった方の確定申告、すなわち「準確定申告」について、その方法と注意すべき点を確認していきましょう。

 

1.準確定申告とは

本来確定申告をすべき者が、確定申告をせずに年の中途で死亡した場合、その相続人が確定申告を行う必要があります。

これを準確定申告といいます。

 

(1)準確定申告と確定申告の違い

準確定申告も確定申告であるため、申告すべき内容は基本的に同じです。

 

ただ、準確定申告は死亡者の所得を対象として相続人が行うので、通常の確定申告と比べると、以下の点で手続的な違いがあります。

 

  • 確定申告は対象者である本人が行うところ、準確定申告は相続人(全員)が行う
  • 確定申告はその年の1月1日~12月31日の所得を対象として計算するが、準確定申告は1月1日~死亡日の所得を対象とする
  • 確定申告の手続期間は翌年の2月16日~3月15日だが、準確定申告は相続の開始を知った日の次の日から4ヵ月以内が手続期間となる
  • 確定申告は電子申告に対応しているが、準確定申告は非対応なので、紙での申告が必要となる

    参考:e-Tax(http://www.e-tax.nta.go.jp/gaiyo/gaiyo1.htm

  • 医療費などの所得控除について、確定申告は1月1日~12月31日に支払った額を対象とするが、準確定申告は死亡日までに支払いを行った額を対象とする
  • 確定申告書や付表の記入内容が一部異なる(後述)

 

(2)準確定申告を行わなければならない者

準確定申告の手続を行うのは相続人ですが、対象は死亡した者(被相続人)です。

 

そのため、以下のいずれかの条件が被相続人に該当する場合に、準確定申告を行わなければなりません。

 

  • 自営業者ないし個人事業主
  • 年間の給与所得が2000万円を超える
  • 給与が1か所から支払われており、給与所得と退職所得の他の所得金額の合計が20万円を超える
  • 給与が2か所以上から支払われており、主な給与とは別の給与の収入と、給与所得と退職所得の他の所得金額の合計が20万円を超える
  • 公的年金などによる収入が400万円を超える
  • 公的年金などによる雑所得が20万円を超える
  • 土地建物や株式の譲渡所得がある
  • 不動産所得がある
  • 生命保険・損害保険などの満期金、一時金を受領した
  • 同族会社の役員などであり、その会社から利子や賃貸料を受け取っていた

 

2.準確定申告(無申告)の効果

準確定申告を行わないことでどのような問題が生じるのか、また準確定申告を行うことによる利点にはどのようなものがあるのか、準確定申告や無申告の効果についてみていきます。

 

(1)準確定申告を行わずにいた場合(加算税・延滞税)

準確定申告は、相続の開始を知った日の次の日から4ヵ月以内に行う必要があります。

この期間内に申告を行わずにいると、加算税や延滞税が課されてしまいます。

 

加算税とは、納付すべき税があったときに、法定の申告期限を過ぎてから(準)確定申告を行った場合の罰として課される税です。

 

原則として、納付を行うべき税額の50万円までに対しては15%の、50万円を超える部分に対しては20%の割合を掛けた上で課されます。

 

ただし、法定申告期限から1ヵ月以内に自ら納税し、かつ期限内にきちんと申告する意思があったと認められる場合には、加算税は課されません。

 

延滞税とは、法定の納付期限内に税金を完納しなかった場合や、期限後に修正があり、納税すべき額が生じた場合などに支払うべきペナルティとしての税です。

 

原則として、法定納付期限の次の日から2ヵ月以内までは年に7.3%、それ以降は年に14.6%もしくは特例基準+7.3%のどちらか低いほうの割合を、納付すべき額に乗じて課されます。

 

(2)準確定申告を行った場合(所得控除)

逆に、準確定申告を行うことによる利点としては、様々な所得について控除を受けられるというものが挙げられます。

 

①配偶者控除・扶養者控除

扶養の有無は被相続人の死亡時の状況で判断されることとなります。

 

年の中途において納税者である被相続人が死亡し、その時点で配偶者が配偶者控除を受けることのできる条件を満たしていたとすれば、配偶者控除の対象となります。

 

この場合の要件に当たる、「配偶者の合計所得金額が38万円以下」という点に関しては、その年の1月1日~12月31日までの配偶者の所得を見積もって判定することになります。

 

なお、配偶者控除の対象となる配偶者が亡くなったという場合にも配偶者控除は受けられます。

ただ、その場合は1月1日~死亡日の合計所得金額で判定されるという点で違いがあります。

 

また、そのようにして配偶者控除を受けた者も、年末に他の納税者の扶養親族として、扶養控除を重複して受けることができます。

 

②医療費控除

控除の対象となるのは、死亡する日までに被相続人の支払った医療費です。

 

相続人が被相続人の亡くなった後に支払った医療費は、準確定申告のときに医療費控除の対象とはならないので、注意が必要です。

 

③各種保険料控除

生命保険料、社会保険料、地震保険料控除など各種保険料控除の対象となるのは、被相続人が死亡日までに支払った保険料等の額です。

 

これについても被相続人が亡くなった後に相続人が保険料を支払ったとしても、準確定申告のときに保険料控除の対象とはならないので、同様に気をつける必要があります。

 

3.準確定申告の流れ

準確定申告を行うにあたって必要となる書類等について確認した上で、具体的な手続の流れについてみていきましょう。

 

(1)必要な書類等

準確定申告に必要な書類は、基本的に通常の確定申告に要するものと同じです。

ただし、いくつかの注意点もあります。

 

①(準)確定申告書・付表

準確定申告専用の申告書が用意されていないため、通常の確定申告書に書き加えた上で使用することとなります。

 

確定申告書の種類としては申告書Aと申告書Bがあり、申告書Aには上の余白部に「準確」と、申告書Bには標題の余白部に「準確定」と、それぞれ書き加えます。

 

なお、申告書Aはもっぱら会社員やアルバイト、パートといった給与所得者が使用するもので、申告書Bは誰でも使用できますが、主に個人事業主が用いるものです。

 

付表というのは、準確定申告書に付属して提出する書類をいい、死亡者の氏名やその税金額、相続人に関する事項、納める税金等について記入するものです。

これは相続人が複数いる場合に提出する必要があります。

 

確定申告書や付表は、税務署へ行けば手に入ります。

また、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。

 

 

②死亡者(被相続人)の給与や年金の源泉徴収票

公的年金の源泉徴収票は、翌年の1月下旬に届くのが通常であり、年の中途で死亡した被相続人については個別に年金事務所へ申請し、取り寄せる必要があります。

 

給与についての源泉徴収票も同様に、会社から取り寄せることとなります。

 

いずれも死亡届の提出をしておかないと作成してもらえず、また取り寄せまでは2~3ヵ月掛かることもあるため、早めの申請が求められます。

 

③死亡者(被相続人)の医療費の領収書

これは医療費控除の申告の際に必要となります。

その年の1月1日から被相続人が亡くなった日までの領収書を保管しておきましょう。

 

④死亡者(被相続人)の各種保険料等の控除証明書

各種保険料も被相続人によって死亡日までに支払われた額が控除対象となりますが、申告の際に控除証明書が必要となります。

 

保険会社等への申請と取り寄せを行っておきましょう。

 

⑤相続人の本人確認書類及びマイナンバー

相続人が複数いる場合、連署で準確定申告を行う方法と、別個に準確定申告を行った上で他の相続人に通知する方法とがあります。

 

このうち、連署で準確定申告を行うという場合には、相続人の本人確認書類の提示又は写しの添付と、マイナンバーの記入を要します。

 

(2)手続の流れ

準確定申告の具体的な手続の流れは以下の通りです。

 

①誰が

相続人が一人の場合 → 当該相続人が行う

複数の場合 → 相続人全員の連署もしくは個別に申告した上で他の相続人に通知する

相続人がいない場合 → 包括受遺者がいる場合は包括受遺者(いない場合は相続財産法人)

 

②いつ(までに)

被相続人の死亡を知った日の次の日から4ヵ月以内

 

③どこへ

被相続人死亡時の住所地を管轄する税務署

参考:税務署の所在地及び管轄区域https://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/kankatsukuiki/syozaiti.htm

 

④どのように

必要書類の提出

相続人が複数の場合、付表及び本人確認書類が必要となる

各種控除を申告する場合、領収書や控除証明書が必要となる

 

⑤何を(対象)

被相続人の死亡日までの所得が対象(死亡日以降は相続税の対象となる)

 

なお、準確定申告書の記入例については、以下をご参照ください。

 

 

4.準確定申告を行う際の注意点

準確定申告そのものだけではなく、付随する注意点もあります。

 

また、相続人が行わなければならないことや、弁護士や税理士などの専門家に任せたほうがいいことをまとめておきます。

 

(1)相続税の申告

準確定申告に伴って重要となるのが、相続税の申告です。

相続税の申告及び納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に行うこととされています。

 

準確定申告の期限である4ヵ月よりは長いですが、葬儀などで立て込んでいると短く感じられるため、注意を要します。

 

また、準確定申告で還付があった場合、還付金は相続財産として扱われ、納税額は相続税を計算する上で債務として扱われて控除対象となります。

 

(2)相続人が行っておくべきこと

相続人は、必要書類の整理及び申請、取り寄せを行っておく必要があります。

 

特に、給与や公的年金の源泉徴収票、保険関係の控除証明書は準備に時間が掛かることもあるので、早めに手続を行っておくとよいでしょう。

 

(3)専門家に任せたほうがよい場合

準確定申告は相続が絡むため、特に相続人が複数いる場合は、誰がどれだけの財産を相続するのか、その結果として納税額がいくらになるのか、といった計算が困難となります。

 

また準確定申告は、申告期間が被相続人の死亡を知った日の次の日から4ヵ月と、かなり短いため、申告を失念してしまうと加算税や延滞税といったペナルティも生じかねません。

 

逆に、申告を適切に行うことで各種控除が受けられ、税法上の特例措置の対象となる可能性もあります。

 

心配な点や不安な点があるのであれば、専門家である弁護士に相談してみるとよいでしょう。

 

なお弁護士に準確定申告の代行を依頼する場合、事務所や個別具体的な事情によっても異なりますが、費用としては2万円~10万円程度が目安となります。

 

掛かる時間としては、必要書類が一通り揃っていれば数時間で終わる場合もありますが、不足が見つかることもあるため、期限には余裕のあるうちに依頼するとよいでしょう。

 

まとめ

準確定申告はその性質上、被相続人の死亡後に行われる手続ですので、何かと慌ただしかったり、心理的な動揺があったりと、見落としも生じがちなものです。

 

加えて、相続が絡んでくるため、相続人が複数いる場合には書類への記入なども煩雑になることがあります。

 

期限も被相続人の死亡を知った日の翌日から4ヵ月以内と短いので、確実に手続を済ませたいのであれば弁護士などの専門家にご相談されるとよいでしょう。

 

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