特別縁故者とは?認められるための要件とその手続き方法を解説

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特別縁故者とは?認められるための要件とその手続き方法を解説

2017.10.10

カテゴリ : その他

特別縁故者とは?認められるための要件とその手続き方法を解説

通常、相続が発生すると、亡くなられた方の遺産は、配偶者や子ども、両親や兄弟姉妹が民法の規定に従い相続することになります。

 

しかし、高齢化や未婚率の上昇により、相続人がいない、あるいは相続人全員が相続放棄をしているなど相続人が存在しない(相続人不存在)ケースが増えています。

亡くなられた方(被相続人)に相続人がいない場合、遺された遺産は、国が引き継ぐのが原則ですが、被相続人に内縁の配偶者や献身的に世話をしてくれた方などがいる場合には、その方に遺産を与えることが望ましい場合もあります。

 

そこで利用されるのが「特別縁故者への財産分与の制度」です。

 

今回は、「特別縁故者」に焦点を当て、特別縁故者と認められる要件や手続きの流れについて徹底的に解説します。

 

1.特別縁故者とは

特別縁故者とは、被相続人と特別の縁故にあった方をいい、民法は(1)被相続人と生計を同じくしていた者、(2)被相続人の療養看護に努めた者、(3)その他被相続人と特別の縁故にあった者と規定しています。

 

ただ、具体的にどのような方が特別縁故者に該当するのかは裁判所が判断していくことになります。

 

(1)被相続人と生計を同じくしていた者

過去、裁判所において、被相続人と生計を同じくしていた者として内縁の配偶者、事実上の養子、亡くなった子どもの配偶者、継父母、叔父叔母などが特別縁故者として認められています。

 

ただし、本妻がいたにもかかわらず内縁関係を始めた場合は、公序良俗に反するとして特別縁故者にはあたらないとした判例もあります。

 

また、被相続人の遺言書を偽造し、不当に財産を搾取しようとした内縁の夫について特別縁故者であることを否定したものもあります。

 

(2)被相続人の療養看護に努めた者

いとこや知人であっても、食事の世話や身の回りの世話を献身的にしていたり、老人ホームや入院先を訪れ親身に看病していた場合などは、特別縁故者と認められる可能性があります。

 

また、看護士や介護士など正当な報酬を得て看護や介護にあたった者は原則として特別縁故者には該当しませんが、報酬以上に献身的に看護や介護に努めたと認められる場合は、特別縁故者にあたるとした判例もあります。

 

さらに、近時では被相続人が入居していた施設を特別縁故者と認めた判例も出現し、話題を集めています。

 

例えば、被相続人が35年にわたり入居し、通常期待されるサービスの程度を超え、近親者の行う世話に匹敵するとして、障害者支援施設を特別縁故者と認めた名古屋高裁金沢支部決定平成28年11月28日や、6年にわたる献身的な介護に加え、葬儀や納骨の手続きを執り行った特別介護施設を特別縁故者と認定した高松高裁決定平成26年9月5日などが、その主なものです。

 

(3)その他被相続人と特別の縁故にあった者

上記に該当しなくても、生前に被相続人と親密な交流を続けていたり、遺言こそ残されていなかったものの被相続人から「死後は全財産を譲る」と言われていた場合も認められるケースがあります。

 

また、被相続人から援助を受けていた場合など、精神的あるいは経済的に被相続と密接な関係にあった方で、その方に財産を分け与えることが被相続人の意思と合致すると推測できる場合には、特別縁故者と認められる可能性があります。

2.特別縁故者に財産が分与されるまでの流れ

特別縁故者に財産が分与されるには、「相続人がいないこと」「被相続人が残した借金などの負債をすべて清算すること」が大前提となります。

その上で、家庭裁判所で特別縁故者であることを認定してもらわなければなりません。

 

そのため、特別縁故者として財産の分与を受けたい方は、まず相続財産管理人の選任を申立て、そこで相続人の不存在が確定した後、特別縁故者による財産分与の審判を申立てる必要があります。

 

手続きが少し複雑なため、まずは手続きのおおまかな流れを俯瞰してから、具体的な手続きの内容を確認していくことにしましょう。

 

 

(1)相続財産管理人の選任申立

戸籍上、相続人となるべき者がいない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合には、亡くなられた方の遺産は、それ自体が法人化(相続財産法人)されますので、それを管理する相続財産管理人の選任を申立てる必要があります。

 

①申立先

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

裁判所の管轄区域 http://www.courts.go.jp/saiban/kankatu/index.html

 

②申立をすることができる者(申立権者)

利害関係人(被相続人と特別の縁故があった者や債権者、被相続人から遺言で贈与を受けている者(受遺者)、または検察官となります。

 

③申立に必要な書類

  1. 申立書(裁判所のホームページからダウンロードできます)

申立書 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/21m-betsu1.pdf

記載例 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/280608souzaikan.pdf

 

  1. 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

被相続人の死亡の事実と、法定相続人の範囲を確定するために必要となります。

 

  1. 法定相続人がいないことがわかる戸籍除籍,改製原戸籍)謄本

例えば被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本など

 

  1. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  2. 財産に関する資料

不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)や,預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)など

 

  1. 特別な縁故関係を証明する書類

被相続人と同一世帯の住民票や、被相続人被扶養者として加入していれば健康保険証など

 

  1. 財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票など

 

この他、追加書類の提出が求められる場合があります。

 

④申立費用

  1. 収入印紙800円分
  2. 連絡用の切手代
  3. 官報公告料3775円
  4. 予納金として20万〜100万円程度が必要となる場合があります。

予納金は相続財産の管理に必要な諸経費や、相続財産管理人の報酬に充てられます。

 

(2)相続財産管理人の選任・官報公告

家庭裁判所で相続財産管理人が選任されると、官報でその旨が公告されることになります。

この官報公告には、相続人捜索の意味もあります。

 

(3)債権者・受遺者に対する債権申出の公告

官報公告がされて2ヶ月以内に相続人が現れない場合、相続財産管理人は、債権者や受遺者に対して2か月以上の期間を定めて被相続人に対する債権等があれば、その旨申し出るように公告します。

 

なお、既に判明している債権者や受遺者に対しては、個別に債権等の申出をするよう催告する必要があります

 

(4)相続財産の清算・弁済

公告期間が満了すると、相続財産管理人は申出を行った債権者や受遺者に対して弁済を開始します。

 

これにより相続財産がなくなれば手続きは終了し、財産が残されていれば次の手続きに進みます。

 

(5)相続人捜索のための官報公告

Step3の官報公告から2ヶ月が経過すれば、相続財産管理人からの申立てにより家庭裁判所が6ヶ月以上の期間を定めて相続人捜索のための官報公告を行います。

 

(6)相続人不存在の確定

公告期間の満了までに相続人が現れなければ、相続人の不存在が確定します。

 

(7)特別縁故者への財産分与の審判の申立

相続人の不存在が確定してから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、「特別縁故者への財産分与の審判」を申立てる必要があります。

 

申立てに必要な書類や費用は下記の通りとなります。

 

①申立に必要な書類

  1. 申立書(裁判所のホームページからダウンロードできます)

申立書 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/21m-betsu1.pdf

 

  1. 申立人の住民票又は戸籍の附票

この他、追加書類の提出が求められる場合があります。

 

②申立費用

  1. 収入印紙800円分
  2. 連絡用の切手代

 

(8)申立書の書き方

特別縁故者に該当するか否か、特別縁故者に該当する場合であってもどの程度の財産を分与すべきかは、申立てを受けた家庭裁判所が判断することになります。

 

そのため、申立書には特別の縁故関係があったことを具体的かつ詳細に記述する必要があります。

 

3.財産分与の割合

申立人が特別縁故者であると認定された場合であっても、すべての遺産が分与されるわけではありません。

 

特別縁故者に対する相続財産の分与は相当なものでなければならないとされているからです。

 

そこで家庭裁判所は、何をどのぐらい分与するのが相当かを、判断していくことになります。

 

この相当性の判断は、縁故関係の内容や被相続人との同居期間、療養看護の程度、特別縁故者の性別、年齢や職業、相続財産の内容や状況などを総合的に考慮して判断されることになります。

 

審判が確定すれば、財産は特別縁故者に引き継がれることになります。

 

4.特別縁故者と相続税

特別縁故者は相続人ではありませんが、遺産を受け取っていることから相続税が課税されることになります。

 

もっとも、相続税には3000万円+(法定相続人の数×600万円)までを非課税とする基礎控除額がありますのでとして、特別縁故者の場合も、受け取った遺産が3000万円以下でしたら、相続税はかかりません。

 

一方、3000万円を超えて、遺産を受け取った場合は、超過分に適用税率をかけ、さらにその税率の2割を加算して算出された額を相続税として納付する必要があります。

 

なお、相続税については国税庁のホームページを参照してください。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4155.htm

5.特別縁故者制度によらなくても、内縁の配偶者であれば受給できるもの

亡くなられた方に相続人がいる場合や、分与すべき財産がない場合には、特別縁故者による財産分与の審判を申立てることができません。

 

しかし、そんな場合であっても内縁関係の配偶者であれば、①賃借権、②遺族年金、③未支給年金を取得・受給できる可能性があります。

 

(1)賃借権

被相続人と同居していた自宅が借家であった場合、内縁関係の配偶者は、その借家に引き続き居住できることが、判例上認められています。

 

(2)遺族年金

内縁関係の配偶者であっても、亡くなられた方に生計を維持されていたと認められれば、遺族年金を受給することが可能です。

 

(3)未支給年金

年金の支給は偶数月の15日に、前月分と前々月分が振り込まれるため、未支給年金が発生します。

 

この未支給年金についても、内縁関係の配偶者で、亡くなられた方と生計を同一としていた場合には、請求することが可能です。

 

この他、葬祭費・埋葬費も受け取ることができますので、まとめて市区町村役場で相談してみるとよいでしょう。

 

まとめ

特別縁故者が財産分与を受けるには、相続財産管理人の選任と特別縁故者による財産分与の審判という2つの申立てが必要となります。

 

申立に際しては広範囲にわたる書類を収集する必要があり、また特別縁故者に該当するか否かは裁判所の裁量に任されているため、特別の縁故関係を認めてもらうには具体的詳細な申立書を作成する必要があります。

 

そのため、時間や手間がかかるだけでなく、専門的な知識も要求されることから、できれば弁護士などの専門家に依頼するのが得策です。

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