残された遺族の生活を支える遺族共済年金の受給資格や受給額をわかりやすく解説

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残された遺族の生活を支える遺族共済年金の受給資格や受給額をわかりやすく解説

2017.12.22

カテゴリ : その他

残された遺族の生活を支える遺族共済年金の受給資格や受給額をわかりやすく解説

一家の大黒柱が亡くなったとき、残された家族に支給される公的年金が遺族年金です。

 

遺族年金は、亡くなられた方が加入していた年金の種類に応じて、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」、そして「遺族共済年金」とに分かれます。

 

亡くなられた方が国民年金にのみ加入していた場合は「遺族基礎年金」が、厚生年金にも加入していた場合は「遺族基礎年金」に加え「遺族厚生年金」が支給されます(支給には一定の要件を満たしている必要があります)。

 

わかりやすく言うと、自営業や無職の方が亡くなられた場合に支給されるのが遺族基礎年金で、会社員の方が亡くなられた場合は、遺族基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされて支給されることになります。

 

そして遺族共済年金はといえば、公務員や私立学校の教職員など共済年金の加入者(共済組合の組合員)が亡くなられた場合に支給される遺族年金です。

 

ただし、平成27年10月に共済年金制度は廃止され、厚生年金に一元化されたことから、遺族共済年金の支給も、平成27年9月30日以前に亡くなられた共済年金の加入者に限定されています。

 

つまり、同じ公務員であっても、平成27年9月30日に亡くなられた場合は、遺族共済年金が、それ以降であれば遺族厚生年金が遺族に支給されることになります。

 

今回は、遺族共済年金について詳しく解説していきます。

 

 

1.遺族共済年金とは

遺族共済年金とは、共済組合の組合員または組合員であった方が亡くなられた場合に遺族の方に支払われる公的年金のことです。

 

共済組合の組合員は、職種に応じて「国家公務員共済年金」、「地方公務員共済年金」、そして「私立学校職員共済年金」に加入していましたが、官民格差をなくすため、これら公職員向けの年金制度は廃止され、現在は厚生年金に統合されています。

 

これに伴い、遺族に支給される年金も「遺族共済年金」から「遺族厚生年金」へと変化しています。

 

ただし、遺族共済年金が全く支給されなくなったというわけではありません。

 

実際、平成27年9月30日までに共済年金に加入されていた方が亡くなられた場合は、遺族共済年金が支給されています。

 

また、退職共済年金を受給されていた方が亡くなられた場合も、遺族共済年金が支給されます。

 

退職共済年金は、1年以上共済年金に加入していた方で、共済年金の他、国民年金や厚生年金をあわせて25年以上の加入期間がある65歳以上の方に支給される公的年金です。

 

したがって、遺族共済年金は、①平成27年9月30日以前に共済年金の加入者が亡くなられた場合、および②退職共済年金を受給されている方が亡くなられた場合に支給されることになります。

 

2.遺族共済年金の受給資格

遺族共済年金は無条件に支給されるわけではなく、下記の要件を満たしている必要があります。

 

(1)亡くなられた方の要件

平成27年9月30日以前に共済年金に加入していた方が亡くなられた場合だけでなく、退職後に年金を受給していた方や、障害年金を受給していた方が亡くなられた場合にも、遺族共済年金が支給されます。

 

具体的には、亡くなられた方がかきのいずれかに該当する必要があります。

 

  1. 平成27年9月30日以前に共済年金の加入者が亡くなられたとき
  2. 共済年金の加入中に初診日がある傷病が原因で、初診日から5年以内に亡くなられたとき
  3. 障害共済年金(1級、2級)を受給している方、または障害年金(1級~3級)を受給されている方が亡くなられたとき
  4. 25年以上組合員だった方が亡くなられたとき
  5. 退職共済年金等を受給している方、または退職共済年金の受給資格を満たしている方が亡くなられたとき

 

上記1〜3を「短期要件」、4〜5を「長期要件」といいます。

 

短期要件を満たしている場合と、長期要件を満たしている場合とでは、受給額に違いが出ます。

 

短期要件と長期要件の両方を満たしている場合は、遺族の方が長期要件も満たしていることを申告しない限り、短期要件で受給額が算定されることになります。

 

短期要件と長期要件を満たす場合とは、例えば、25年以上共済年金に加入していたが、その加入中に病気と診断され、退職後、その病気が原因で初診日から5年以内に亡くなった場合等が考えられます。

 

(2)受給される方の要件

遺族共済年金を受給できる遺族は、死亡当時、亡くなられた方に生計を維持されていた方に限られます。

 

生計を維持されていた方とは、亡くなられた方の収入で生計を立てていた方で、年収850万円未満の方を指します。

 

受給できる遺族には下記のような優先順位があります。

  1. 配偶者および子(夫の場合は60歳以後の支給となる)
  2. 父母(60歳以降の支給となる)
  3. 祖父母(60歳以降の支給となる)

順位の一番高い人が遺族共済年金を受給できます。

 

子や孫が受給する場合は、さらに下記の要件を満たしている必要があります。

 

①配偶者のいない子や孫で、18歳になってから最初の3月31日を迎えていないこと。

この場合、遺族共済年金が支給される期間は18歳になってから最初の3月31日を迎えるまでです。

 

例えば支給当時、17歳であっても、18歳になってから最初の3月31日がくれば、支給は停止されます

 

②子や孫が、共済年金の組合員または組合員であった方の死亡当時から継続して、1級・2級程度の障害をもっていれば、年齢に関係なく、遺族共済年金は受給できます。

なお、配偶者と子が遺族共済年金を受給できる場合は、遺族基礎年金も同時に受給することができます(子に障害がある場合は、20歳未満まで)

 

亡くなられた方の職業

受給する配偶者

受給できる遺族年金

公務員・私立学校の教職員

(亡くなられたのが平成27年9月30日以前)

18歳未満の子(※1)がいる妻

遺族基礎年金+遺族共済年金

18歳未満の子がいる夫

遺族基礎年金+遺族共済年金(60歳になるまでは支給されない)

18歳未満の子がいない妻

(40歳未満)

 

遺族共済年金

18歳未満の子がいない妻(40歳〜65歳)

遺族共済年金+中高年齢寡婦加算

18歳未満の子がいない夫

(60歳以上)

遺族共済年金

※1 18歳になってから最初の3月31日を迎えていない子、または1,2級程度の障がいをもつ20歳未満の子

 

3.受給できる額

受給できる遺族基礎年金の額は、下記の数式によって算出されます。

 

厚生年金相当額

 + 

職域加算額

 + 

中高齢寡婦加算

 

(1)厚生年金相当額

平均給料月額 × 7.125 / 1,000 × 平成15年3月までの組合員期間の月数(※1)×3/4

                 +

平均給与月額 × 5.481 / 1,000 ×平成15年4月以後の組合員期間の月数(※1)×3/4

 

※1 短期要件の場合、組合員月数が300ヶ月未満のときは300ヶ月として計算します

 

(2)職域加算額

平均給料月額 × 1.425/ 1,000(※1)× 平成15年3月までの組合員期間の月数(※3)×3/4

                  +

平均給与月額 × 1.096/ 1,000(※2) ×平成15年4月以後の組合員期間の月数(※3)×3/4

 

※1 長期要件の場合、組合員期間が20年未満の方は0.713/1,000で計算します。

※2 長期要件の場合、組合員期間が20年未満の方は0.548/1,000で計算します。

※3 短期要件の場合、組合員月数が300ヶ月未満のときは300ヶ月として計算します

 

(3)中高齢寡婦加算

遺族共済年金の受給者が妻である場合、以下の要件を満たせば、中高齢寡婦加算として58万4500円(平成29年現在)が加算されて支給されます。

 

  1. 亡くなられた方の組合員期間が20年以上あること
  2. 妻が40歳以上、65歳未満であること
  3. 遺族基礎年金を受給していないこと

 

中高齢寡婦加算は、妻が老齢基礎年金を受給できる65歳に達するまで支給されます。

 

なお、妻が昭和31年4月1日以前に生まれた場合は、65歳を過ぎても生年月日に応じて中高齢寡婦加算が支給されます。

これを経過的寡婦加算といいますが、中高齢寡婦加算額よりも少なくなります。

 

4.受給資格を失う場合

遺族共済年金を受給していた方が、下記のいずれかに該当すると、遺族共済年金の受給資格を失います。

 

  1. 死亡したとき
  2. 再婚したとき
  3. 直系血族や直系姻族以外の養子となったとき

 

子・孫が受給していたときは、結婚したり、18歳になってから最初の3月31日がくれば受給資格を失います。

 

また1.2級程度の障がいのある子・孫が受給していたときは、障がいの状態がなくなれば受給資格を失います。

ただしその子・孫が18歳未満であれば、18歳になってから最初の3月31日までは受給することができます。

 

なお、次順位の遺族がいるときは、その者が代わって受給することができます。

 

これを転給制度といい、遺族共済年金にだけ認められている制度です(他の遺族年金では、受給者が受給資格を失っても、次順位の遺族が代わりに受給することはできません)。

 

5.遺族共済年金の支給が停止される場合

遺族共済年金を受給するのが夫、父母、祖父母の場合は、60歳になるまで支給が停止されます。

ただし、これらの方が1級、2級程度の障がいをもっている場合は、支給は停止されません。

 

6.有期支給となる場合

30歳未満の妻が遺族共済年金を受け取る場合は、受給期間が決められています。

 

  1. 18歳未満の子がいない場合、受給期間は5年になります。
  2. 18歳未満の子がいて遺族基礎年金を受け取る場合は、遺族基礎年金が支給されなくなった日から5年で遺族共済年金の受給権が消滅します。

 

 

7.遺族共済年金の請求方法

遺族共済年金のみを請求する場合は、亡くなられた方が加入していた共済組合に請求します。

それ以外の遺族年金も請求する場合は、年金事務所等に請求することになります。

 

その際に必要となる書類は下記のものがあります。

 

  1. 遺族共済年金決定請求書(各共済組合のホームページからダウンロードできます。また各共済組合に電話で請求することもできます)
  2. 亡くなられた方の戸籍謄本と住民票の除票
  3. 死亡診断書または死体検案書
  4. 請求する遺族の戸籍謄本と住民票
  5. 請求する遺族の所得証明書または非課税証明書
  6. 亡くなられた方の年金証書
  7. 亡くなられた方が共済年金以外の公的年金に加入していた場合は、加入期間がわかる証明書と年金証書
  8. 請求する遺族の方の年金手帳や印鑑など

 

まとめ

遺族共済年金は残された家族の生活を支える大事なお金ですので、受給資格はあるか、また、受給できるとしてもいくら受け取れるのか、遺族共済年金以外にも受給できる遺族年金はないか、そして受給するにはどのような手続きが必要かを十分に理解し、もしもの場合に備えておくことが大切です。

 

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