遺産分割調停とは何か?申立から成立(不成立)までの全知識

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遺産分割調停とは何か?申立から成立(不成立)までの全知識

2017.11.19

カテゴリ : 遺産分割

遺産分割調停とは何か?申立から成立(不成立)までの全知識

親族等が亡くなったときに遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産相続を行います。

遺産分割協議は相続人全員が承認しない限りは決議しません。

 

では、相続人同士がもめてまったく協議が決議しない場合はどうすればいいのでしょうか。

この場合は遺産分割調停で解決するという方法があります。

 

今回は、遺産分割調停の手続きの流れや仕組みについて徹底解説します。

 

1.遺産分割調停とは

遺産の分割を巡る手続きには3つの方法があります。

遺産分割協議と遺産分割調停、遺産分割審判です。

 

まず、相続人全員で遺産分割協議を行います。

遺産分割協議は相続人同士で遺産分割について協議をするものです。

 

遺産分割協議で相続人同士がもめるなどし、決議できない場合は遺産分割調停、または遺産分割審判に移行します。

最初から遺産分割審判を行うこともありますが、通常は、遺産分割調停の申し立てを行います。

 

遺産分割調停とは、遺産分割協議で決着がつかない場合に裁判所に間に入ってもらい、話し合いを進める手続きのことです。

 

裁判官や調停委員がそれぞれの相続人に事情や主張、要望などを聞き、すり合わせを行います。

当事者同士が顔を合わせることはありません。

 

遺産分割協議と遺産分割調停はあくまで話し合いですが、遺産分割審判はそれらとは異なり、家庭裁判所における裁判手続きとなります。

 

もめている相続人同士の主張と、それを実証するために作成した資料をもとに裁判官が審判します。

 

通常は遺産分割調停をすることが多いので、審判の申し立てをしても調停になることもたびたびあります。

 

2.遺産分割調停の流れ

ここからは、相続を開始し、遺産分割調停の申し立てがされるまでについて解説します。

 

(1)遺言や相続人、相続財産の調査

相続が始まったらまずは、遺言の確認から始めます。

 

相続では被相続人の意志が尊重されるので、遺言書があれば、原則遺言書のとおりに遺産を分割する必要があります。

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議をします。

 

同時に、相続人と相続財産の調査を行い、相続人と相続財産を確定させます。

そのために戸籍謄本等を遡り、他に相続人となる人がいないか確認します。

 

相続財産を確定させるためには、預金通帳や郵便物でお金の流れを確認し、預貯金だけでなく、不動産や有価証券など、その他所有する資産を確定させていきます。

 

(2)遺産分割協議

相続人と相続財産の両方が確定すれば、ようやく遺産分割協議に移ります。

遺産分割協議は、相続人全員の承認を得ないと決議できません。

 

そのため、まずは各相続人と連絡を撮ったり、相続人が一堂に会する場を設けたりするなど、遺産分割協議の準備をする必要があります。

 

遠方に相続人がいる場合などは、集まるまでに時間がかかることもあります。

相続人全員が遺産分割協議を承認すれば全員の署名と押印を行い、遺産分割協議書を作成します。

 

(3)遺産分割調停の申立て

遺産分割協議で相続人同士がもめるなどし、決議できない場合は遺産分割調停、または遺産分割審判に移行します。

通常は、遺産分割調停の申し立てを行います。

 

申し立ての方法は、裁判所や裁判所のホームページで入手できる「遺産分割調停申立書」に必要事項を記載し、申立手数料の収入印紙を貼って提出します。

 

「遺産分割調停申立書」は以下の裁判所のページからダウンロードできます。

また、記載例も掲載されています。

参考:裁判所|遺産分割調停の申立書

 

(4)調停期日に出頭、話し合い

遺産分割調停申立書が受理されると、裁判所から相手方にも連絡が行きます。

その後、調停を行う日(これを調停期日といいます)が指定されます。

 

調停期日に所轄の家庭裁判所に出頭し、裁判官または調停委員に主張を行います。

 

手続きの内容等を説明するため、調停の初日と最終日には当事者同士が顔を合わせる必要がありますが、それ以外の日には通常当事者同士が顔を合わせないように配慮がされています。

 

遺産分割調停では、相続人は法定相続分の確定から始まり、遺産の範囲や評価、特別受益や寄附分についての確認、相続分と分割方法の確定などを行っていきます。

 

1回の話し合いで決着がつかない場合は順次期日が指定され、話し合いを行い、上記内容を少しずつ確定させていきます。

 

(5)調停の成立または不成立

遺産分割調停を行って話し合いがまとまると、調停の成立となります。

調停が成立した場合は、調停証書が作成されます。

 

調停証書は、法律的に強制執行できる力を与えられた文書(債務名義)のため、相続人はそこに書かれたとおりの遺産分割を行う必要があります。

 

調停がまとまらず不成立(不調)となった場合は、遺産分割審判に移行して裁判が行われます。

遺産分割審判へは自動で移行するため、特に申し立てなどの手続きは不要です。

 

3.遺産分割調停を行うための必要書類

ここまで、遺産分割調停の流れについて説明しました。

ここからは、遺産分割調停を行うために必要な書類等について見ていきましょう。

 

一言に遺産分割調停といっても、相続人には配偶者や子供、父母、祖父母、兄弟などさまざまな人がおり、その組み合わせもさまざまです。

 

遺産分割調停では、相続人が誰であれ共通して必要な書類と、相続人が誰と誰であるかその組み合わせによって個別に必要な書類があります。

 

具体的に見ていきましょう。

 

(1)相続人がだれであっても共通して必要な書類

  • 遺産分割調停申立書、遺産分割調停申立書写し

遺産分割調停申立書は、裁判所や裁判所のホームページで入手できます。

遺産分割調停申立書の本書は1通だけで問題ありませんが、遺産分割調停申立書の写しは、調停する相手側の人数分必要です。

  • 被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
  • 相続人全員の住民票または戸籍の附票
  • 預貯金通帳の写しや残高証明書等

※相続財産に固定資産がある場合は、不動産登記事項証明書や固定資産税評価証明書など、有価証券があればその明細書など、財産の確定と評価ができる書類

  • 被相続人1人につき1,200円の収入印紙
  • 連絡用の郵便切手代。金額は当事者数などで異なる

 

(2)相続人に父母や祖父母が含まれる場合

父母や祖父母と同じ代やそれより下の代に死亡者がいる場合は、その人の死亡の記載のある戸籍謄本

 

(3)相続人が配偶者のみの場合または、相続人に兄弟姉妹がいる場合

  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本
  • 被相続人の祖父母(直系尊属)の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍謄本または改製原戸籍謄本)
  • 被相続人の兄弟姉妹で死亡者がいる場合、出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本

 

(4)相続人に代襲相続者がいる場合

  • 死亡した被代襲者の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本

 

4.遺産分割調停の注意点

遺産分割調停は、裁判官や調停委員に自分の主張を話す場です。

そのため、調停を有利に進めるためにはさまざまな注意点があります。

 

ここでは遺産分割調停における注意点を見ていきましょう。

 

(1)自分の立場や主張を理解してもらうことを念頭におく

遺産分割調停は、裁判官や調停委員に自分の主張を話す場です。

そのため、自分の立場や主張を裁判官や調停委員に理解してもらうことが、調停を有利に進める近道になります。

 

裁判官や調停委員は当事者すべての人に意見を聞くため、決してごまかしてはいけません。

ごまかすと悪い印象を与えてしまいます。

 

その代わり、遠慮をする必要もまったくないので、主張は立場や主張を理解してもらうことを念頭におきながら、正直に、遠慮せずに行う必要があります。

 

(2)あくまでも当事者が合意するための手続きであることを理解する。

遺産分割調停とは、あくまでも当事者が合意するための手続きです。

100%意見が通るということはほとんどありません。

 

いつまでも100%意見を通そうとすると、調停が長引くだけでなく、裁判官や調停委員に悪い印象を与えて不利に働きかねません。

譲れるところと譲れないところをあらかじめ決めて置き、調停に臨むようにしましょう。

 

(3)裁判官や調停委員は中立的な存在であると意識する

裁判官や調停委員は当事者同士の間に入っている中立的な存在です。

そのことを常に頭に置いておきましょう。

話し合いの中では当然、途中で不満になることがあります。

 

感情的になることもありますが、裁判官や調停委員は中立的な存在であると意識して、私的な感情を表に出しすぎないようにすると、結果有利に調停が進むことも多くあります。

 

(4)資料やメモを作成しておく

繰り返しになりますが、遺産分割調停は、裁判官や調停委員に自分の主張を話す場です。

裁判官や調停委員に自分の主張がきちんと伝わることが最も重要です。

 

あらかじめ伝えたいことをメモに書いておいたり、主張が伝わりやすくするために資料を作成したりするのも一つの手です。

 

(5)弁護士に依頼する

特に、争点が寄与分や特別受益の場合など複雑な事情がある場合は、まずその争点を自分で理解し、かつ裁判官や調停委員に分かりやすく説明していく必要があります。

 

遺産分割調停に慣れている弁護士がいる場合といない場合では、裁判官や調停委員に自分の主張が伝わる度合いが異なります。

 

もしも相手側に弁護士がいて、こちらにいない場合は調停が思い通りに進まないこともあるでしょう。

そのため争点に複雑な事情がある場合は、弁護士に依頼する必要があります。

 

まとめ

遺産分割調停には、手続きや、さまざまな書類が必要です。

しかも、調停とは裁判官や調停委員が間に入る話し合いのため、自分の主張をいかに伝えることができるかが重要です。

 

わかりやすい資料などを作成するといったことが必要な場合も多くあります。

そのため、遺産分割協議がまとまらない場合や、遺産分割調停を起こそうと考えている場合は、できるだけ早く弁護士などの専門家に相談した方がよいでしょう。

 

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