遺言にはどのくらいの効力があるの?無効にならない為の注意点

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遺言にはどのくらいの効力があるの?無効にならない為の注意点

2018.02.28

カテゴリ : 遺言書 / 遺言執行

遺言にはどのくらいの効力があるの?無効にならない為の注意点

遺言を残そうと考えている方、あるいは遺言を残そうとしている親族などが身近にいる方。

そうした方々の注意すべき点の一つが、遺言によって何ができ、何ができないか。

すなわち遺言の効力です。

 

特に、遺言がきちんと効力を発揮しているかどうかは、亡くなってしまった本人には確かめようがありません。

それだけに、遺言が有効となる条件には気をつけなければなりません。

 

そこで今回は、遺言によってできることをみたうえで、有効な遺言を遺すために気をつけるべきポイントについて解説していきます。

 

1.遺言の効力とは

(1)遺言とは何のためにするのか

遺言には、できることとできないことがあります。

なんでもかんでもできるとすると、生きている人々の世界に混乱をもたらすからです。

そこで法律では、できないことを遺言として残しても、無効と扱われることとされています。

 

では、そもそも遺言とは何をするためのものでしょうか。

 

  • 財産の処分
  • 身分関係の整理

 

遺言の役割を突き詰めれば、この2つです。

したがって、それ以外のことについて遺しても、効力を有しません。

 

この2つを具体化したのが、後述する「遺言によってできること」なのです。

 

(2)遺言が有効だとどうなるのか

有効な遺言を残せた場合には、何が起きるのでしょうか。

これは、遺言が有効だというのはどういう意味を持つのか、という話です。

 

それは、以下の2つ。

 

  • 遺言へ書いたとおりに財産等が処分され、親族関係が整理される
  • 遺言へ書いたとおりにならない場合、「遺言のとおりにしろ」と相続人が法的に強制することができる

 

要は、トラブルになりそうな場合に、財産等の相続について「お墨付き」を与えるというのが、遺言の効力なのです。

 

(3)遺言が存在しないとどうなるのか

遺言(書)がなければ、財産をどう分けるかという遺産分割協議が必要となり、また相続人以外は財産を相続できないという事態が生じます。

そうなると、どうしてもトラブルは起きやすくなります。

 

しばしば、遺言を必要とするのは多額の財産がある家くらいだ、として何も言い遺すことなく亡くなる方もいらっしゃいます。

ですが、やはり遺せるなら遺言は遺しておいたほうがいいでしょう。

 

2.遺言によってできること(遺言の効力)

遺言によって有効とされるのは、財産と親族に関する事柄です。

以下、それぞれを具体化した民法上の定めについて確認していきましょう。

 

(1)財産の処分・処分手続

財産の処分そのものに関わる内容と、処分手続に関わる内容とがあります。

 

①相続財産の処分(民法第902条1項)

処分には、遺贈(民法第964条)や寄付行為などが含まれます。

すなわち、法定相続人ではない相手へも財産を受け渡すことができるのです。

 

ただし、後述しますが、法定相続人の遺留分は侵害できないので注意が必要です(同条ただし書)。

 

②相続分の指定・指定の委託(民法第902条1項)

相続分の指定が行われなかった場合は、法定相続分(民法第900条)に従って分けられるか、もしくは遺産分割協議によって相続分が話し合いで決められます。

遺言によって、相続に至るまでのこのプロセスを変更できるのです。

 

また、特定の相続人の相続分のみを指定することも可能です(民法第902条2項・第903条3項)。

 

③遺産の分割方法の指定(民法第908条前段)

遺産をどのように分けるかという指定ができます。

「相続させる」趣旨の遺言は、遺贈と解されるような事情がなければ、この遺産分割の方法を定めたものと捉えられます。

 

④遺産分割の禁止(民法第908条後段)

自分の死後5年間までは、遺産の分割を禁じることも可能です。

相続人がまだ子供である場合や、相続争いが深刻となりそうな場合などは、遺産の分割を当面禁じておくという手段を取ることができるのです。

 

⑤相続人の担保責任指定(民法第914条)

たとえば特定の相続人が相続した財産に何らかの問題(瑕疵)がある場合、他の相続人が担保責任を負う、ということがあります。

この担保責任の範囲について、遺言で指定・変更することができます。

 

⑥遺贈減殺方法の指定(民法第1034条ただし書)

通常、遺贈は目的の価額の割合に応じ、減殺されます。

ですが、遺言によって異なる方法を指定することができます。

 

(2)身分関係の整理

身分関係とは、いうなれば相続人の範囲に含まれるかどうかということでもあります。

つまり結局のところ、財産の処分とも関わってくるものといえます。

 

①推定相続人の廃除(民法第893条)・廃除の取消し(同894条2項)

本来であれば相続権を有する者について、その遺留分ごと相続権を剥奪することを廃除といいます。

これは被相続人への虐待や侮辱といった行いを理由とするものです。

 

遺言によって指定した相手の相続権を失わせ、また一度失わせた相続権を取り消して復活させることが可能です。

 

②認知(民法第781条2項)

結婚をしていない女性との間にもうけた子供を認知することも、遺言では可能です。

これも相続権に絡んでくることといえます。

 

③未成年後見人の指定(民法第839条)

未成年者の後見人を指定することができるのは、「最後に親権を行う者」、つまり被相続人の死亡によって親権者がいなくなる場合に限られます。

また、遺言によって第三者に、未成年後見人を誰に指定するか、を委ねることもできます。

 

(3)遺言執行の手続

相続に関しては、どう相続するかだけではなく、具体的にどう相続手続きを進めていくかも問題となります。

財産の処分や身分関係の整理を具体的に行うための執行手続に関しても、遺言として定めておくことが可能です。

 

①遺言執行者の指定(民法第1006条)

土地や銀行口座の名義を変更する場合のように、事務手続きを要するときには、それらを行う遺言執行者を指定することができます。

これも第三者へ指定を委ねることが可能です。

 

3.有効な遺言を遺すために注意すべきポイント

有効な遺言を遺すには、いくつかのポイントがあります。

それらは、「形式面」「内容面」「その他」に分けることができます。

以下、順にみていきましょう。

 

(1)形式面 ~遺言の種類~

遺言は「遺言書」という書面の形で遺すのが原則です。

これは、きちんと被相続人の意思(遺志)を確認できるようにするためです。

後から誰にでも遺言の内容を誤解のないよう伝えるため、このような定めとなっています。

 

また、遺言には「普通方式」と「特別方式」があります。

それぞれの方式によって有効となる要件が定まっているため、確認しておきます。

 

①普通方式

  • 自筆証書遺言

もっとも簡易に作成できる遺言です。

被相続人となる本人が、自ら内容の全文と日付、氏名を手書きし、押印することが成立要件です。

 

  • 公正証書遺言

公証役場などで本人が口述を行った内容について公証人が聞き取り、公正証書として作成するのがこの方式です。

承認2名以上の立会いを必要とします。

 

  • 秘密証書遺言

本人の署名と捺印、そして2名以上の証人、さらに公証人を必要とします。

保管は自分で行い、内容は秘密にしておくことができます。

 

②特別方式

  • 一般危急時遺言

病気や重傷などを理由として亡くなる間際という時に行う遺言です。

3名以上の証人の立会いと、遺言内容の口述、読み聞かせによる確認を要します。

20日以内に、証人ないし利害関係人が家庭裁判所への請求を行った上で確認を取らなければなりません。

 

  • 難船危急時遺言

船の遭難によって船内にいる際に亡くなる間際となった場合の遺言です。

2名以上の証人の立会いにより、口頭で行えます。

証人が筆記するのは遺言の趣旨でいいですが、やはり家庭裁判所への請求と確認を要します。

 

  • 一般隔絶地遺言

伝染病によって病院への隔離がなされた場合、この方式の遺言を用いることとなります。

警察官1名、証人1名以上の立会いを要します。

 

  • 船舶隔絶地遺言

船舶内にいる被相続人が遺言を作成するという場合には、この方式を採ります。

船長ないし事務員1名、そして証人2名以上の立会いを要します。

 

これらの要件を備えることで初めて遺言は有効となるのです。

 

(2)内容面 ~民法上の定め~

基本的には上述したように、民法上に規定された10の内容のみ遺せます。

ただし、遺留分の侵害はできません。

 

遺留分というのは、相続人が最低限確保できる財産のことであり、相続人の生活権を保障するという趣旨から定められているものです。

なお、財産を相続させる相手方としては、親族以外の他人でも可能です。

これは遺言に記すことで指定できます。

 

(3)その他の注意点 ~やってはダメなこと~

他にも、形式や内容とは別の部分で遺言の効力の有無が左右されることがあります。

 

まず、遺言を有効に遺せる年齢(遺言能力)というものが挙げられます。

これは満15歳以上と定められています(民法第961条)。

あまりにも幼いと、自分の財産の処分に関する判断を適切に行えないと見做されるからです。

 

次に、有効な遺言を作るには、意思能力も必要となります。

これも判断能力の有無との関係であり、認知症などの場合は原則無効とされます。

ただ、程度が軽い場合は有効とされることもあるので、病院の診断書などを用意しておくことが対策となります。

 

さらに、詐欺・強迫による遺言も当然ながら無効とされます。

これは本人の意思が適切に反映されたものとはいえないためです。

 

4.遺言を遺したいと思ったときに

(1)遺言を遺す本人や相続人が行っておくべきこと

遺したい意思を自分の中ではっきりさせることが大事です。

その中で、「財産の処分」と「身分の整理」に関連することを洗い出しておきましょう。

 

自分自身で財産や身分関係をどうしたいのかがはっきりしていなければ、文面も曖昧なものとなり、無効と判断されるおそれがあります。

 

(2)法律家に相談したほうがいいこと

上で示したように、遺言書が有効に成立する要式は決まっています。

死後、効力を確かめることは(被相続人本人には)できませんし、有効とされる内容も法律で限定されています。

 

加えて、遺留分の問題もあるのです。

このような点から、有効な遺言の作成に不安がある場合は、プロフェッショナルである弁護士に相談すべきといえるでしょう。

 

なお、弁護士に相談や依頼をした場合、相談については30分につき5000円、遺言書の作成については10~20万円が相場とされます。

ただし、財産総額や具体的な事情によっても料金は変わってきますし、また相談料も初回は無料という事務所もあります。

 

実際に相談先の事務所へ問い合わせてみるのが確実です。

 

まとめ

きちんと財産関係や身分関係を整理するには、遺言によって何ができるのかを知っておくことが不可欠です。

 

相続と遺言に絡む制度には、いろいろと複雑な点もあります。

死後の意思表示というのは、それだけイレギュラーなことだというわけですね。

確実に有効となる遺言を作成したいのであれば、専門家に一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

心強い味方となってくれることでしょう。

 

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